障害があって動物園に行けない子どもたちへ スマホで「ARどうぶつえん」 実寸大の動物が学校に出現⁉

読み聞かせイベントの中で「ARどうぶつえん」を起動し、ペンギンを登場させたスマートフォン=金沢市のいしかわ特別支援学校で
絵本で見た動物が目の前に
「ARどうぶつえん」と名付けられたコンテンツは、学校や病院などの指定された空間で、専用サイトにアクセスしたり、アプリを使ったりして利用できる。カメラによって映し出された画面内の映像の中に、ゆっくりと歩くキリンや頭を動かすホッキョクグマなど、実寸大の動物が現れる仕組みになっている。
11月下旬、実際に体験できる催しが金沢市のいしかわ特別支援学校で開かれた。石川県肢体不自由児協会(金沢市)などが主催した読み聞かせイベントの中で、絵本に登場した動物をARで観察してみようという企画だ。障害があり、動物園に出かけるのが難しい子もいたが、絵本「ライオンのよいいちにち」などの読み聞かせを受け、スマホの中に出てきたライオンやキングペンギンの姿をにこやかに眺めていた。
いしかわ特別支援学校に通う長女(10)と一緒に参加した金沢市の谷畑由佳さん(41)は「スマホを操作した瞬間に動物が出てきて『こんなに大きいんだ』と実感した」と驚いた様子。「子どもにはいろいろな体験をさせたい。こうしたコンテンツで動物への興味が出てくれば、実際に動物園に行くきっかけにもなる」と話した。

「ARどうぶつえん」を起動させた記者のスマホでスクリーンショットを撮ると、現実にペンギンが現れたかのような様子になった
入院中の子どもたちの学習環境を
アイデアを生み出したのは「STARIUM(スタリウム)」社長の今井清臣(きよとみ)さん(52)。もともとソニーの関連会社に勤めており、先端技術とエンターテインメントを掛け合わせた取り組みを考える中で、「日常空間に動物が現れる違和感をエンタメとして提供できないか」と考え付いた。2024年6月に同社を立ち上げて独立し、コンテンツの提供を始めた。
動物の動き方は、旭山動物園(北海道旭川市)が監修。同園では動物が暮らす自然環境を守るための啓発に取り組んでおり、園としても、子どものうちから身近で学ぶ機会にしてもらいたいという思いがあったという。
飼育のプロの目が入るため、動物の「再現性」の追求には余念がない。動物の姿を制作する際はまず3次元で外見を描画し、骨や関節の位置を設定。飼育員に確認してもらい、違和感のない動き方になるよう微調整する。
ARどうぶつえんを全国の小児医療機関に入院する子どもたちに体験してもらう試みも進んでいる。これまで長野県立こども病院(長野県安曇野市)などで体験してもらい、病院関係者からは「入院する子どもたちの環境改善という課題に対して有用な取り組みだ」との好感触を得た。立命館大大学院の増田梨花教授(臨床心理学)とも協力し、子どもたちに与える心理的な影響についても研究を行っていく予定だ。
場所を選ばない観察が実現することで「学習環境の格差の解消にもつながる」と今井さんは考えている。「先端技術を通して、どんな環境下にある子どもたちにも喜びや楽しさを提供したい」
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