川崎市立小中学校7校に高濃度PCB廃棄物 過去調査での見逃しも発覚 爪の変形やまぶたの腫れなどの危険性

北條香子 (2023年9月28日付 東京新聞朝刊)
 人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む廃棄物が川崎市立小中学校7校に保管されていることが27日、川崎市議会 決算審査特別委員会 文教分科会で明らかになった。このうち1校は以前の調査で見逃され、本年度に新たに見つかったという。長谷川智一議員(みらい)の質問に川崎市教育委員会 教育環境整備推進室の担当者が答えた。 

ポリ塩化ビフェニール(PCB=Poly Chlorinated Biphenyl)とは

1968年のカネミ油症事件の原因にもなった有害な化学物質。目やにや爪の変形、まぶたや関節の腫れなどが報告されている。1950~1970年代に国内で製造された変圧器や照明器具など電気機器に使われた。国はエリア別に高濃度PCB廃棄物の処理施設や期間を定めており、川崎市の場合、北海道室蘭市の施設と今年3月末までに契約し、来年3月末までに処分することになっている。

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川崎市の新本庁舎の隣にある、教育委員会が入るビル

照明器具に含有 本年度末までに廃棄へ

 川崎市教委は昨年度、調査や処理に1496万円の予算を計上したが、決算額は2148万円となった。市立田島中や宮内小など4校で保管されていた高濃度PCB廃棄物を処理施設に搬入した費用などが含まれる。

 教育環境整備推進室によると、川崎市教委は2000年度、1973年度までに建てられた市立学校を対象にPCBが含まれる蛍光灯安定器の有無を調査。川崎市環境局からは1976年度までの建物を確認するよう求められていたため、昨年度は1974~1976年度に建てられた学校を調べた。

 その結果、宿河原小や南百合丘小、西生田中など5校でPCBを含む安定器が見つかった。2000年度の調査対象だった稲田中でも、昨年度の校舎改修工事の際に8台が見つかった。PCBの計画的処理期限は本年度末までと定められており、この6校のPCB廃棄物は本年度末までに処分する予定。

市教委「これまでの調査に課題あった」 

 さらに、2000年の調査対象だった下小田中小では本年度に入って、校舎改修工事で安定器6台が新たに見つかった。結果的に、最初の調査が不十分だったこととなり、教育環境整備推進室の担当者は「これまでの調査に課題があったと認識している」と答弁。「本年度末の計画的処理完了期限に向け、速やかに手続きを進める」とした。

 長谷川氏は「子どもたちが健やかな成長を遂げる場である学校からは一刻も早くPCBを排除しなくてはならない」と指摘。「後から新たに発見され、最終期限に処理が間に合わないことがないよう、スケジュール管理の徹底を」と求めた。

経済産業省のYouTube動画「PCB廃棄物の適正な処理について」

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年9月28日

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