世田谷・杉並の子育て家庭を支える「ハイコラ」 オムツ替えMAP、親子で防災訓練…地域参加を橋渡し

(2024年8月26日付 東京新聞朝刊)
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「オムツ替えMAP」などを手に持つ杉山めぐみさん=東京都世田谷区で

 共働き家庭の増加で、平日を保育園や学童保育施設で過ごす子どもが増えた。保護者は、職場と保育園、学童との往復が中心。マンションに暮らし、少子化できょうだいも少ない-。一方で、地元の町内会などでは「地域の行事に子連れの人は参加しない」「外で授乳している人を見たことがない」と言う声も上がる。「子育て家庭が地域から離れている」。東京都世田谷区の杉山めぐみさん(52)はそんな危機感から2018年、主に世田谷、杉並両区で、子育て家庭と地域を結びつける一般社団法人「ハイコラ」を立ち上げた。

ニーズが変化「働きたい人への支援を」

 ある地域では防災訓練に子育て家庭の参加が少ないことが課題だった。だが、聞けば防災訓練の案内は回覧板だけで、子連れが参加しづらい座学もあった。そこで、消防車の展示や、子ども向けの工作コーナーを設けるなど、親子で参加しやすい体験型に見直し、SNSや商店街にチラシを張って宣伝した。狙いは的中。多くの親子が集まった。

 20年ほど前は「子育て家庭の地域参加」とは別の視点から、母親たちを支援していた。長男(20)が1歳の時に「ママ友」たちと、習い事や息抜きができる場をつくろうと、当時住んでいた三鷹市でサークルを始めた。産後うつが注目されており、子連れでの外出先を増やすのが狙いだった。ヨガやフラダンス、ゴスペル、子育て講座-。サークルは育児雑誌にも取り上げられ、首都圏各地から親子が参加した。メンバーは一時、数千人に上った。

 だが、「保育園落ちた日本死ね」と題した親の怒りのブログから待機児童問題がニュースになった2016年ごろ、育児形態や子育て家庭のニーズが変わったと感じた。「子育てしながら働きたい人たちへの支援がもっと必要では」。そんな思いから立ち上げたのがハイコラだった。

コロナ禍で1個200円の「こども弁当」

 ハイコラでは、新型コロナウイルス禍のまっただ中に、予約制で1個200円で弁当を提供する「こども弁当」を三軒茶屋(世田谷区)と高円寺(杉並区)で展開。居酒屋やレストラン10店舗の協力を得て、子育て家庭の食を支えた。

 昭和女子大の学生らと、赤ちゃんのオムツを替えるスペースがある施設を紹介する「オムツ替えMAP」も作成。世田谷区の太子堂中央商店街では毎夏、子どもたちに絵を描いてもらい、街に掲示する「まちなか子ども美術館」を行う。

 「小さな子と親が地域に参加し、楽しめる場を増やしたい。そのための橋渡しができたら」

一般社団法人ハイコラ

 「女性×こども×地域×企業」を掲げて活動。法人名は質の高い協業を意味する「ハイクオリティー・コラボレーション」の略。杉山めぐみさんが代表理事を務め、子育てしながら働くスタッフ約25人と親子イベントの企画や防災プログラムの開発、普及などに取り組む。催し情報はインスタグラム「@hqc2022」で発信している。

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