アナウンサー 古川枝里子さん 「自分は×ばかり」と夜中に泣いた子育て 一人で抱え込んでいた

(2020年11月8日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

写真 アナウンサー 古川枝里子さん

(桜井泰撮影)

次男の育休中、気象予報士試験に合格

 3歳と1歳、2人の息子がいます。次男の育児休業中の今年3月、2度目の挑戦で気象予報士試験に合格しました。会社員の夫は、私がこんなに早く資格を取れるとは思っていなかったようで、結果を聞いた時は驚いていました。

 気象予報士を目指したきっかけは、2018年に発生した西日本豪雨の被災地取材でした。多くの方が亡くなった岡山に何度も足を運び、夫を亡くした女性に話を伺いました。女性を励ましたくても言葉が見つからず、「自分には、災害が起きてからできることは少ない」と無力感に襲われました。災害前に注意や避難を呼び掛ける気象や防災の情報でこそ、言葉は役立つのではないかと思いました。

正解が分からない、子育てのしんどさ

 最初は1日15分から資格試験の勉強を始め、子どもの昼寝中に1時間、深夜に3時間など少しずつ時間を見つけながら独学で勉強しました。勉強する時は、夫が長男を公園に連れていくなどして支えてくれました。

 資格試験の勉強は、答えが○か×か、白黒はっきりしています。正解が分からない子育てに関しては、しんどくなる瞬間もありました。「また叱ってしまった」「言い方がきつかった」と、子どもへの接し方を反省して、「自分は×ばかり」と夜中に一人で泣いたことも。長男の出産後は、母乳があまり出なかったことでも悩みました。夜はほとんど眠れず、いつも慌ただしくて立ちながらご飯を食べるような生活。「いつまでこの状況が続くんだろう」と思ったり、見知らぬ女性から突然「母乳出てるの?」と聞かれて傷ついたりしました。

♪きっと明日はいい天気 歌声に涙…

 振り返ると、長男が生まれて最初の頃は「自分で全部やらなければ」と一人で抱え込んでしまっていました。でもだんだん、周囲に「助けてください」と言えるようになりました。特に、近くに住む夫の両親には保育園のお迎えなど、すごく助けてもらい感謝しています。最近、長男は「ママ、テレビ出てたよ」「かわいかったよ」などと言ってくれるようになりました。そう言うと、私が喜ぶことを分かっているようです。

 早生まれの長男は同じ学年の子たちよりも成長が遅く、3月にあった保育園の卒園式ではうまく歌を歌うことができませんでした。でも最近、雨上がりの空にかかる虹をテーマにしたその歌を、家で歌ってくれるようになったんです。「きっと明日はいい天気」という歌詞があって、歌声に感激して泣いてしまいました。この半年、大人の心はコロナで曇りがちだけれど、力に満ちあふれた子どもたちは、どんどん成長していく。子どもたちは心に虹をかけてくれる力の源です。

古川枝里子(ふるかわ・えりこ)

 1984年、埼玉県出身。2007年にCBC(名古屋市)に入社。2017年に長男、昨年次男を出産した。4月に育休から職場復帰。TBS系列の全国20局で平日午後1時55分から放送中の情報番組「ゴゴスマ」に出演している(火、金曜日)。

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