「誰でも通園」の登園は月に数回 事故を防ぐために細心の注意を払う保育園を訪ねてみた

加藤祥子 (2026年3月26日付 東京新聞朝刊)
 4月から始まる「こども誰でも通園制度(誰でも通園)」では、家庭で過ごす子どもが月に数回、保育施設に通う。集団生活に適応する余裕や保育士が子の特性を知る時間がなかったりで通常保育より安全に気を配る必要がある。慣れない中で起きやすい事故の防止について、先行保育園などに取材した。
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散歩先の公園で、誰でも通園の子たちに落ち葉を見せる関玲子さん(左)=名古屋市瑞穂区で

5分ごとに保育士が睡眠をチェック

 昼寝中の0歳児が呼吸をしているか、うつぶせになっていないか-。昨年10月から誰でも通園を行う名古屋市の「たんぽぽ保育園」では、保育士が5分ごとに5項目を確認し「睡眠チェック表」に書き込む。

 子どもが慣れない時期の昼寝には特に気を使う。家での生活時間もまちまちで、遊んでいて眠くなることも。保育士はすかさず隣の部屋で寝かしつけて見守る。

 実施に踏み切ったのは、保護者の急病などの際に子どもを預かる「24時間緊急一時保育」の実績があるから。初めて来園する子の持病などを確認するシートを準備し、事故につながらないよう配慮してきた。

 誰でも通園でもこれを基に保護者との事前面談に使う表を作った。緊急一時保育を経験した保育士の関玲子さん(71)が30分ほどかけ面談。保育も担当し別の保育士とともに子どもたちをみる。継続して関わることで、頻繁には来ない子の発達具合もつかめ、事故防止につなげられる。「同じ場所に同じ人がいると子どもの安心につながる」と加藤雅美園長(61)は話す。

アレルギーある子の食器の色を変える

 給食も注意が必要だ。同じく昨年から誰でも通園を実施する名古屋市の「笠寺幼児園」では、アレルギーのある子が使う食器の色を変え、食材の一覧表も付けて調理員と保育士がそれぞれ確認する。窒息を防ぐため、通園の朝に再度、子どもがかめる食材の大きさや硬さを保護者に確かめる。

 気は抜けないが意義もある。家で食べない食材を完食したと伝えると「家でも出してみよう」と前向きになる保護者も。主任の古田梢さん(48)は「食事に悩む保護者は多く、保育園が助けになれば」と話す。

参入する園、自治体が厳しい基準を

 誰でも通園には、保育士の配置など国が定める設置基準を満たす公立や民間の認可保育園のほか、基準に満たない認可外施設も参入できる。

 保育時の事故に詳しい大阪電気通信大の平沼博将教授によると、2004~24年に認可外施設で死亡した園児は、認可保育園の2倍超。一部では子どもをうつぶせで寝かせていたりと、事故を誘発する保育が行われる実態もあった。

 平沼教授によると、誰でも通園に関する国の手引では、国の最低限の基準を満たさない認可外施設を「除く」とするが「(手引自体に自治体を縛る)法的拘束力がない」と指摘。監督する市町村が条例で厳しい基準を設けない限り、危険な保育を行う認可外施設が参入する恐れがある。

 「保護者が施設を見極めることは難しい。自治体が責任を持って指導、監査することが重要」と平沼教授。保護者には、施設側に疑問点を伝えることや親子で通うことから始めることを勧める。

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