ロタワクチンが10月から定期接種に 時期の目安と効果、注意点をまとめました 8月以降に生まれた赤ちゃんは原則無料
冬から春に流行、急性胃腸炎の原因に
10月半ば、名古屋市北区の総合上飯田第一病院。「生後2カ月になったので、4つのワクチンを接種しますね」。小児科部長の後藤泰浩さん(62)は、母親(31)に抱かれた女児に、B型肝炎、ヒブ、肺炎球菌のワクチンを打ち、ロタウイルスワクチンを飲ませた。
後藤さんによると、ロタウイルスは5歳までにほとんどが感染する。冬から春にかけて流行し、水のような白い便が特徴。嘔吐や高熱を伴う。通常は1~2週間で治るが、重度の脱水症を起こすこともある。母親は「無料で受けられて助かった」と笑顔を見せた。
口から接種 初回は生後2か月が目安
厚生労働省によると、国内では推計で年間約80万人が感染。5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち40~50%がロタウイルスが原因とされる。感染を繰り返すうち免疫が付いて症状は出なくなるが、乳幼児が初めて感染すると重症化しやすい。2015~2019年の5年間で、5歳未満の死亡例は18人を数える。
ワクチンは2種類で、日本では2011年にロタリックス、翌2012年にロタテックが承認された。いずれも、ほぼ症状が出ないよう毒性を弱めた生ワクチンで、口から飲む。ロタリックスは2回、ロタテックは3回接種で、初回は生後6週から14週6日までに、2回目以降は27日以上間隔を空けて接種する。
自己負担の任意接種なら約3万円だった
自己負担が必要な任意接種の場合、ロタリックス、ロタテックとも計約3万円と高額だ。そのため、独自の支援をしてきた自治体もある。2012年10月から費用の半額を助成する名古屋市はその1つで、翌2013年度の接種率は8割を超えた。
藤田医科大医学部小児科学教授の吉川哲史さん(59)は市内4病院を対象に、ワクチン導入前の2007~2011年と、助成開始後の2012~2016年を比較した。それによると、接種時期に当たる1歳未満では、全ての入院に占めるロタウイルス胃腸炎の割合が72%減少。吉川さんによると、助成前の接種率は4割程度だったとみられ「接種率の上昇が入院の減った要因」と話す。
副反応で腸重積症の報告も 便に注意
一方、先行してワクチンが流通した海外では、接種後に腸の一部が隣接する腸内に入り込む腸重積症の発症率が増えるという報告があった。1歳未満の腸重積症の発症率を調べた国の研究班代表で、富山県衛生研究所長の大石和徳さん(66)によると、国内ではワクチン導入前と後で大きな差はない。ただ「初回の接種後1~2週間は腸重積症にかかりやすい」と指摘。「血がまじるいちごゼリーのような便や嘔吐、激しく泣くなどの症状が出たら、すぐ受診を」と訴える。
子どもの定期接種は種類が多く、受ける時期も決まっている。ロタワクチンは、初回を生後2カ月で接種すれば、ヒブやB型肝炎、肺炎球菌のワクチンと同時にできる。「新型コロナウイルス感染を警戒し来院を避ける人もいるが、受けることが健康を守る」と後藤さんは呼び掛ける。
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