「包括的性教育」推進や学習指導要領の見直し求め署名4万筆 NPO「ピルコン」が文科省に提出
榎本哲也 (2022年12月1日付 東京新聞夕刊)
正しい性の知識に関する普及啓発に取り組むNPO法人「ピルコン」は30日、人権尊重やジェンダー平等などを含め幅広く体系的に学ぶ「包括的性教育」の推進や、義務教育で性交や避妊を取り扱わないと解釈できる学習指導要領の見直しを求める署名4万3132筆を、文部科学省に提出した。
ユネスコが提唱 学校で必修の国も
署名は2018年、都内の公立中で性交や避妊を取り上げた授業が行われたことを、都議会が問題視したことをきっかけに始めた。
包括的性教育は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が提唱。「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」と題した指針で、各年齢に適したカリキュラムを示しており、学校で必修にしている国も多いという。
性交が何か明示せず「NO」は無理
日本の学習指導要領は、小学校で人の受精に至る過程を、中学で妊娠の経過を「取り扱わない」とする「はどめ規定」がある。これらが、性交や避妊は教えてはいけない、と解釈されているとの指摘がある。
来年度から、性暴力防止を目的とする「生命(いのち)の安全教育」が全国の小中高で始まる。ピルコンの染矢明日香理事長は「性交が何かを明示せずに『NOと言いましょう』と教えても、子どもたちには伝わらない。大人の都合で『取り扱わない』ではなく、正しい情報を伝えるのが大切」と話した。
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