〈中倉彰子さんの子育て日記〉38・負けから学ぶ

(2015年9月18日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

中倉彰子さんの子育て日記

かるたがブーム

 わが家では、最近かるたがブーム。ことわざや国旗、四字熟語など、覚えにくいこともかるただと、すいすい覚えられて一石二鳥!なのです。

 マイ(10)の提案で、百人一首のように、1対1で対戦する形を取っています。しかし困った事が1つ。途中までは、楽しく取り合っているのですが、その後が大変。負けると泣いたり八つ当たりしたりするのです。末っ子のシン(5つ)は、「そこにマキの足があったからー!」なんて人のせいにして。楽しいはずの遊びなのに、子どもたちの悔し泣きが響く日が続きました。

 親がうまく負けてあげれば、その場は楽しく過ごせますが、さじ加減が難しい。「悔しい気持ちを乗り越えてほしい」との思いから、パパと相談して大人も手抜きしないことにしました。たかがかるた、されどかるたです!(笑)

 マイは、パパに何度か挑戦するも、勝てずに涙。布団の上でバタバタして悔しさを思い切り出していました。「もうやめてしまうかな」と思いましたが、次の日もパパに挑んでいました。

「弱い人いる?」にガクッ

 将棋も負けると悔しい。負けた将棋を反省し、そこから学び、後はさっぱり忘れる。頭では分かっていても、これがなかなか難しいのです。以前、ある棋士が「羽生名人は切り替えも超一流ですね」と言っていました。私も羽生名人が地方のタイトル戦で負けた翌日に、爽やかに関係者にあいさつをし、談笑している姿を何度も見掛けました。

 子どもたちには、人生で負けたり失敗したり思うようにいかない時に、人のせいにしたり逃げ出したりせず、真摯(しんし)に向き合える人になってほしいと願っています。

 それから数日後のマイとパパとの対戦。「お願いします」と将棋の対局風のあいさつで始まり、緊張感の中で私が札を読みます。大接戦の末、最後は1枚差でマイの勝ち。私が勝利者インタビューをまねて、「今のお気持ちを一言」とマイクを向けると、「はい、絶対負けないという気持ちで挑みました。妹や弟とも練習しました」とマイはうれしそうに答えていました。

 マイも達成感を味わうことができたかなと、満足していたのですが、しばらくたったある日のこと。マイに「地元の将棋の会に一緒に行って指してみる?」と聞くと、第1声が「弱い人いる?」…ガクッ。「負けを乗り越える力」はそう簡単には身に付かないようです。「七転び八起き」の気持ちで頑張ってもらいたいものです。(プロ棋士)

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