学習障害のある小6、進学先はどうすれば? 専門家が助言「合理的配慮に理解がある中学か確認を」

中学校の定期テストでタブレットを使って回答した三輪かのんさんの答案用紙。回答方法も再現してくれた=名古屋市内で(2023年6月撮影)
読み書きが困難な障害
学習障害(LD)の一つで「発達性ディスレクシア」と言われる。知的発達に遅れはないが、生まれつき大脳の一部の働きが弱く、文字の形と、その文字の音声を結び付けにくく、読み書きに時間がかかる。書くことのみが困難な場合は「書字障害(発達性ディスグラフィア)」と呼ばれる。日本人の約7%が読み書きに障害があるとの研究結果もある。
同じ立場の親「子どもの気持ちを尊重」
名古屋市守山区の女性(47)の高1の長男は字がうまく書けず中1のテストで回答できず不登校に。通信制高校への入学前に障害を伝え、パソコンでテストを受ける。「本人には相当つらい。お孫さんの気持ちを尊重して、合う学校を探して」と助言する。
「公立(の学校)は運」と話すのは、同市の女性(55)。困難がある中3の長女に、小5の時に平仮名で回答する配慮を希望したが、学校側に「皆と同じ基準で成績を付けられない」と断られた。長女は不登校になり「公立は心配」と私立中を受験。通えていないが「先生に理解があり、母の私が元気になれた」。
学習障害(LD)などの傾向がある次女(27)を私立中に通わせた女性(61)は「公立中では内申点をとるのが難しいと思った」と高校入試をせずに系列校に進める学校を受験。中学は少人数のクラスでのびのび過ごせた。女性は「迷った時は子どもが笑顔で過ごせる方を選択した」と話す。
テストは時間延長、タブレットで回答
公立中に進み、環境を調整して授業を受けてきた生徒も。愛知県内の中2の男子生徒は、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害に加え、小6で書字障害も判明。板書を書き取るのに時間がかかり、授業を聞き逃すことも。母親(50)は中学へ、板書をタブレットで撮影することなど、合理的配慮を受けられるよう相談した。医師の診断書や検査結果も提出。
母親によると、学校で初のケース。校内での審議を経て、入学後に配慮が提供されるようになった。テストでは漢字の書き取りを除いて、平仮名での回答も許可された。配慮を得て、生徒は「大事なポイントの聞き逃しもなく、挙手もできるようになった」と喜ぶ。
読み書きが困難な名古屋市の通信制高校1年の三輪かのんさんも公立中通学時、テストの時間延長や問題文の読み上げ、タブレットでの回答も認められた。「配慮がなければ、テストをまともに受けられず、自信をなくしたと思う。今は夢に向かって進めている」
読み書き習得度の検査を受けておこう
読み書きの障害に詳しいNPO法人「LD・ディスレクシアセンター」(千葉県)の宇野彰会長(72)は「漢字を書くのが難しい子でも、タイピングなどの合理的配慮があれば、勉強に取り組める」と話す。
配慮を求めるために、専門機関で読み書きの習得度を測る検査を受けることを勧める。まずは、各地の発達障害者支援センターなどに相談するといい。
進路選択の際、合理的配慮に理解がある中学か確認することを提案。「理解がないと、入学後に保護者が配慮を求めて学校と交渉しないといけなくなり、気力が消耗する」と指摘する。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい










