私立高校の授業料 新年度から支援制度が拡充されます〈どんぶり一家のマネー術〉

(2020年3月6日付 東京新聞朝刊)

どんぶり一家のマネー術

 主婦の財子(ざいこ)さん(39)と会社員の夫の経男(つねお)さん(42)、長男税太(ぜいた)くん(4つ)、長女貨保(かほ)ちゃん(0歳)のどんぶり家。一家のお金の悩みにFP陽子さんが助言するコーナーです。

私立校授業料の平均額39万6000円まで引き上げ

 財子 前回に続き、「高等学校等就学支援金」(以下、就学支援金)の話ですね。制度が拡充される予定とか。

 陽子 はい。今は所得要件を満たせば、公立高の授業料は就学支援金で賄えて、実質無償化となっています。でも、私立は自治体の上乗せがあっても不十分。四月から、年収約590万円未満の世帯は、支給上限額が私立高授業料の平均である年額39万6000円まで引き上げられる見通しです。

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東京都は新年度、年収要件を約910万円に拡大

 財子 経済的な理由で私立への進学をあきらめていた子にとっては選択肢が広がりますね。

 陽子 自治体独自の制度も拡充の流れです。財子さんが住む東京都は全国的にみて制度が充実しています。現在、年収約760万円未満の世帯への支給額の上限は、国の分と合わせて45万6000円。新年度予算が承認されれば、対象が年収約910万円未満の世帯に広がり、上限支給額も46万1000円となります。さらに、子どもが3人以上の多子世帯は、年収目安910万円を上回っても、上限5万9400円が支給されます。

 財子 東京暮らしは何かとお金がかかるので、ありがたい。

 陽子 就学支援金への子育て世帯の関心は高く、年収のボーダーにある家庭から「うちは制度の対象になるか教えてほしい」という相談をよく受けます。パートや個人事業で、働き方を柔軟に変えやすい場合、前年から所得を調整したいと考える人もいます。

年収目安270万円未満は「高校生奨学給付金」も

 財子 そういえば、ふるさと納税を使って、所得を圧縮するという話も聞いたことが…。

 陽子 不公平感を是正するため、7月からは、所得判定の基準も変わる予定です。ふるさと納税などによる所得の調整の影響を排除する計算法になります。

 財子 就学支援金は授業料の支援。それ以外のお金もかかりますよね。

 陽子 年収目安が270万円未満の世帯に対しては、教材費など授業料以外を支援する「高校生奨学給付金」という制度もあります。入学時の配布資料などにこうした支援制度の説明があるはずです。よく読み、期限までに忘れず申し込んでくださいね。

監修・八木陽子

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 東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体「キッズ・マネー・ステーション」を設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う「株式会社イー・カンパニー」を設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。

※「どんぶり一家のマネー術」は毎月第1金曜に掲載します。次回の掲載は4月3日です。

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