ツーブロック禁止やめました 校則変えた世田谷・大東学園高の「三者協議会」 生徒が主体的に考え、行動できる

土門哲雄 (2020年8月2日付 東京新聞朝刊)
 耳の上や襟足を刈り上げた段差のある髪形「ツーブロック」。東京都の一部の都立高校に、この髪形を禁止する校則があり、会員制交流サイト(SNS)などで「ブラック校則では」と話題になっている。そんな中、読者から「大事なことは生徒の声を聞いているかどうかだ」とのメールが届いた。生徒が保護者や学校側と話し合い、ツーブロックを解禁した高校に足を運んだ。
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「三者協議会事務局会議」に参加する生徒会副会長の若林翼輝さん(手前)=7月31日、東京都世田谷区の大東学園高で(潟沼義樹撮影)

「事件や事故に遭う」都教育長の”驚愕の答弁”

 「なぜツーブロックはだめなんでしょうか」。3月の東京都議会で、池川友一都議(共産)の質問に、藤田裕司・都教育長は「外見等が原因で事件や事故に遭うケースがあるため、生徒を守る趣旨から定めている」と答弁した。池川都議は7月13日、ツイッターに「驚愕(きょうがく)の答弁」とつぶやき、やりとりの動画を投稿。「ツーブロックだとトラブルに巻き込まれるのか」と波紋が広がっている。

 世田谷区の大東学園高校。「人間の尊厳を大切にする」との教育目標を掲げる。同校でも、ツーブロックは「極端な髪形」の1つとして、2003年から校則で禁じられていた。

生徒が削除を提案、美容師の保護者も後押し

 大東学園高校では、生徒と保護者、教職員による三者協議会を設置。生徒代表が校則の見直し、設備の充実、授業の改善などを提案し、話し合っている。この協議会に2017年、生徒側が「今では普通の髪形」「清潔感がある」「熱がこもらない」などの理由で校則から削除するよう提案。教職員の一部に反対意見はあったが、美容師をしている保護者から「スッキリした髪形で、技術の1つ」と後押しもあり、話し合いの結果、認められるようになった。

 生徒会副会長の若林翼輝さん(3年)の髪形はツーブロック。「(この髪形で)変わった目で見られることはない」とほほえむ。

 「世代によってイメージに違いがあった。時代とともに社会の認識やルールも変わる」と佐々木准教頭。「生徒が自分のこととして主体的に考え、関わっていくことが大切」と話す。

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生徒(左)、教員(手前)、保護者(右奥)が参加して学校のさまざまな議題について話し合う大東学園高の「三者協議会事務局会議」

 三者協議会による話し合いで、これまでに制服のリニューアル、紺色のポロシャツ導入、更衣室の冷暖房設置、女子トイレのサニタリーボックスの交換などが実現した。

 生徒会長の巖谷龍一さん(3年)は「三者協議会で教師や保護者の考えを知ることができて有意義。みんなで考えて変えていけるのは楽しい」と語る。

「校則を公表し、外部に見せることも大事」

 本紙にメールをくれた東京都立大の宮下与兵衛特任教授(教育学)は「国連子どもの権利委員会は、校則などを決める時に生徒代表を参加させて意見を聞くよう勧告している」と教えてくれた。三者協議会を設けている学校は都内に5校ほどあるという。

 「ブラック校則理不尽な苦しみの現実」の共著者で名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)によると、ツーブロック禁止の校則は各地にある。内田氏は「ルールは合理的で必要最低限なものにとどめるべきで、校則をホームページなどで公表し、外部から見ておかしくない内容にしていくことも大事」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年8月2日

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  • 一保護者 says:

    中学校の校則にありました、前髪は眉毛にかからないこと、横髪は耳にかからないこと、襟足は制服(学ラン)の襟、カラーにかからないこと、でした。

    ツーブロックって完璧に校則の通りだと思います😊

    一保護者 男性 40代
  • 匿名 says:

    生まれつきの容姿を否定する内容の校則はどの時代にしろ論外だと思います。そうではない規則も時代や状況等によって見直す必要があると思います。自分の学校は制服を選べますし、髪型の規則も髪の毛を染めてはいけない程度で、ツーブロックも禁止されていませんが特に問題は起きていません。似たような高校は他にもあるようですが、特に問題が起きているとは聞いていません。そのこともあって校則というものは本当は必要ないのではないかとも思うことがよくあります。

      
  • 匿名 says:

    日本の学校の校則って変ですよね。
    私が昔住んでた隣の県の中学生男子は全員スポーツ刈り靴は白のみでした。野球部が多いなと思って聞いたら校則だそうです。理由は不良になりにくいから。。
    今はスポーツ刈りのイカツイ人もいますし普通の一見大人しそうな人でも悪い事をする人もいますし、あまり関係ないですよね。
    髪型以外にも理不尽な校則はあるのに。

      
  • 匿名 says:

    ツーブロック、オシャレでもないし何がダメなのか意味がわからない。
    でも、女子校でも未だに編み込みダメとか
    ポニーテールダメ、お団子頭ダメとかありますよね。時代に対応して柔軟に対応できる学校でないと少子化の今、学校は生き残れないと思いますが。

      
  • 匿名 says:

    ブラック校則で生徒を縛るのは、拘束する事で、生徒に発言する気力をなくし、先生が統治し易い学校を作るためだと思う。そんな考えの教師に、生徒の自主性云々を訴えても無駄。

      
  • 匿名 says:

    「髪型」等についてのご意見は様々だろうが、若いうちから自分で考え、自分たちで働きかけ、決める、という「社会への参加」を始めていくのは意義が有ると考える。そんなことは考えずに勉強だけするべき、と思っている方は、「社会に出たとき何も考えずに命令に従う歯車」だけを求めるタイプではなかろうか。

      
  • 匿名 says:

    ツーブロックは、清潔感があり見た目もシャープでカッコよく、なぜ校則違反の理由がわかりません。
    息子が高校生で、ツーブロックが校則違反と理解していたので、親からみてやや刈り上げかな?という程度でしたが、校則違反と注意。即、カットしましたが、それでも、まだ長さが長いとの事。親のハンコもいると用紙ももらってくる始末。
    工業高校ですが、最近の話です。
    よほどの形が変わってる髪型なら注意があっても当然ですが、少しの刈り上げや、内側の刈り上げは髪の量の多い人には、ありとも思いますし、誰にも迷惑かける事でもないと思います。
    この記事をみて、もっとツーブロックは校則違反でもなにもないという世の中になってもらいたい。
    古い学校の校則をなくしてもらい、現代の子供の意見も聞く学校になってもらいたい。

      
  • 匿名 says:

    中学の時シャーペンが禁止でした。集会でなぜダメなのか先生に質問したら、
    刺さるから。と回答。
    生徒達は呆れそれ以上追求しなかった。子供が大人になりました(笑)

      
  • 匿名 says:

    昔はカリアゲってバカにされる髪型だったんだがなあ。

      
  • 匿名 says:

    髪型に限らずオシャレは自分で稼ぎ、責任を取ることができるようになってからと考える。化粧、マニキュア、異服装も同じ。少し話は変わるが、私のいた学校は学生のとき校則で女子靴下は三つ折りソックスだった。当時アイビーソックスより金額が高かったので変えてもよいのではと思い生徒総会にかけた。学校からは公立なので何でも良いのだと言われて終わった。洗濯してはくものがない、買えない、なら公立は何でもありなのだ。髪型も肩に髪が付いたのでゴムでまとめた男子もいた。制服がないなら準ずるもので良い。基本的に公立学校はお金をかけなければ良いのだ。ツーブロックが一番安い散髪なら問題ない。

      
  • 匿名 says:

    入試前に校則を説明していれば、このような校則が有ってもよいと思う。

      
  • 匿名 says:

    社会に出てから好きな髪型にすれば良いこと。たった3年だろ。我慢しろよ。石の上にも三年じゃないけど たった三年だろ。
    社会に出たら三年じゃ済まない。

      
  • 匿名 says:

    校則は生徒を縛るためのもの、教師が生徒を管理するために作られたものが多い。
    1971年、学生服を洗濯屋に出して着替えがないときに異装届けをいちいち出さなければならなかった。そこから制服自由化闘争が始まった。学生服は男子は黒ボタンの制服で、女子は紺色のブレザーだった。
    教師たちの賛成はなかなか得られなかったが、PTAを巻き込んで校長先生を説得してもらった。生徒会の決議もほとんど反対意見はなく2週間の実験期間がスタートした。今でも覚えているけど、6月からスタートした初日梅雨寒で、半袖に半袖のセーターを着て学校に行ったのだが、寒かったなあ。
    やはり行き交う他校生や大人たちからは奇異の目で見られていたなあ。それでも1ヶ月後には制服が自由化されて、卒業式以外は制服に腕を通さなかった。
    校則のここが変だと思ったらまず声を上げてみることだ。意外と皆同じ意見を持っているかもしれないから。
    都立小岩高校での出来事なのだか、数年後また制服に戻ってしまった。私服よりもお金がかからないからだと言われている。

      
  • 匿名 says:

    ツーブロック ダメなんてあるんですね!現代からしてみたら丸坊主の方が過激かもしれないですよね。難しいですね。髪型云々じゃないよね。とも思いますけど。

      
  • 匿名 says:

    ツーブロックを解禁にした手順に共感しました。強引な方法を取らず話し合いで解決したことに、生徒さんたちの意識の高さを感じました。

      
  • 匿名 says:

    この学校側が懸念しているような、ツーブロックにしていたことで事件に巻き込まれてしまうケースが実際にあったのですか。
    守っている、とか、あなたの為、とかストーカーや毒親の常套句に思えます。

      
  • 匿名 says:

    見た目の問題のようですので、坊ちゃん刈り程度のツーブロックはOKということにすればいいのでは?

      
  • 匿名 says:

    別にどうでもよいこと。髪型いちいちきにするな勉強しなさい。

      
  • 匿名 says:

    個人の生まれついた容姿や個性を否定するような校則の設定及び運用がされる場合を除けば、基本的に校則の内容をどうするのかというのは学校側の裁量の自由だと考えます。
    ツーブロックも学校がダメと決めたらダメで何ら問題はないと思いますが、生徒側が疑問をもって、学校側と協議をした結果、勝ち取るのであれば、それもまた大切な勉強かなと思います。

      
  • 匿名 says:

    特に時代の変化の適応に学校も会社も社会を中心に遅れていると感じてます。10年経たないと今起きてることが、当たり前にならない時代ですね

      
  • 匿名 says:

    海外で暮らしてみて思うのですが、日本人は平均的に優秀です。でも、それが相手国の人たちに伝わるまでにとても時間がかかります。その原因の一つは、自分の考えを人前で話す経験が乏しいからだと思います。その意味で「三者協議会」で、過去に大人が決めた校則について生徒自身が考え、公の場で堂々と意見を言う経験ができることは素晴らしいです。このチャンスをもらえた子どもたちは、きっと立派な大人になると実感します。

      
  • 匿名 says:

    ここでブラック校則は、悪い校則とか不合理な校則という意味なのですよね?貴社の文章からブラックの言葉を全て排除する目標を持ち、使用する言葉を考え直しましょうね。

      
  • 匿名 says:

    道路交通法をたとえに反論している人間が下にいますが、そもそもツーブロックにリスクがあり危険だとでも思っているのでしょうか?ブラック校則、ブラック企業、様々なハラスメントの問題を語るとき、学校や企業、加害者側を擁護する人間は、感性が数十年前で止まったままで、論点をずらし人間としての思いやりに欠けた発言をしますが、本来日本はそのような息苦しい国ではありませんでした。蚊を殺してはいけないという法律も今はありません。一度決めたルールや悪しき文化を変えようとしないのは怠惰でしかなく、自身で物事を深く考える力のない、ロボットのような人間を増産させるだけです。
    これを機に、若い人が身近なところからブラックなことを変えていく世の中になれば未来は明るいと思います。

      
  • 匿名 says:

    程度というものがあります。私はゴリゴリのツーブロックの方(耳の付け根の生え際から上へ6cmくらい)を見ると恐いです。ただの生え際刈り上げで1~2cm幅のツーブロックなら、恐くありません。
    大体、答弁や文字でのやりとりではなく、写真や画像で示したほうが良いと思います。ここまではOKで、ここからはNGというような、絵で示すことが大切です。

      
  • 匿名 says:

    結局トラブル,事故に巻き込まれるなんて学校側の人間の苦しい言い訳。
    生徒(子供)のくせに生意気な!ツーブロックは大人の男性のもの。の,勝手な思い込みです。
    上級生が目立つ下級生イジメと同じ理屈ですよ。みっともないだけ。。

      
  • 匿名 says:

    アラフォーのおばさんですが、毛量多めのショートヘアなので、美容師に女性向けのツーブロックを勧められてやってみたところ、髪が軽くなり風が通って涼しいしスタイリングも楽になってすごく良かったです。
    ツーブロック=ガラ悪そうって発想はもう古いかも。

      
  • 匿名 says:

    昔は規則が厳しかったけど…。今の時代に髪型等はゆるくても良いんじゃないかな。生徒の心の意見も大事だと思うよ!

      
  • 匿名 says:

    言いたいこと書きます。校則という意味を理解していますか?生徒や保護者を交えて意見交換するのは結構ですが、先に破っておいて文句言うのはどうかと思います。世の中にはルールがあります。身近なところでも道路交通法などがあるでしょう?「この道路は30km/h制限です。」ここは住民が多く危険だからという理由だとして、こんなに広い道なのに50km/hで走ってなぜダメなのか…事故を起こすやつが悪いんじゃないか…と言っているのと同じです。今回も髪型のような外見だけで事件に巻き込まれるからという理由について問題視する声が出ていますが、校則として生徒を守るという考え方でいくと生徒に優しい校則といえるでしょう。要するに問題や事件を巻き起こす人はもちろん良くないですが、リスク管理という点では巻き込まれる方も全く悪くないということもないのです。リスク管理をきっちりできるならこう言った校則も変えていけば良いことで、ツーブロック自体が良い悪いなんて言うことはナンセンスですよ。自己責任と自己管理、これができない人はルールを守りましょうと言うことです。つまり高校生は未成年であり責任能力や判断能力が未成熟なためルールに縛られるのはある程度仕方ないのではないでしょうか?なんでも高校生はとかひとくくりにしてしまうのもどうかと思いますが、それが嫌なら自己責任とリスク管理ができることを示せばいいんです。

      
  • 匿名 says:

    三者協議会を開くことがまず大切なのと、内田先生が仰るようにどの学校も校則を公表し、外部から評価できるようにすべきだと思います。保護者として中高教諭として、この記事に賛同、感謝致します。この学校のような取り組みが、さらに今後大きく全国的に取り上げられて然るべきです。
    冬のタイツ禁止、夏のポロシャツが認められないこと、おだんごやポニーテール禁止、など誰のための規則なのか三者で話し合いをすべきです。
    教育する側が一方的に押し付けるのではなく、共に成長していく姿勢が大切、子供たちの主体性も同時に育てる必要があります。

      
  • 匿名 says:

    何故このように、髪型や制服について厳しい校則が規定されているのでしょうか。それは生徒が同じ服装をすることで、学校全体が「1つになる」という「ヒドゥンカリキュラム」が隠されているからです。そもそも丸坊主一択であったかつての学校が、何故長髪容認になったのかというと、学帽が廃止になったからで、決して生徒ありきの自由論に乗ったわけではないのです。一つの組織の中で一丸となることは、社会に出てからも同様で(会社の就業規則を守りませんか?)それに向けた教育がなされていると考えるべきでしょう。それではツーブロックなるものが、何故禁止されるのか。それは端的に言うと「目立つから」です。写真のように少し刈り上げている分には良いでしょう。しかしゴリゴリのツーブロックならどうでしょう。結構目立つはずです。それが学校の規律を乱したらどうでしょう。そう言う意図から、多くの学校では指導対象になっているのです。これは女子のスカート丈と同様です。社会から見れば不要な校則も、校内では重要な教育の一環として存しているのです。

      
  • 匿名 says:

    「ツーブロック」というのがなんだかわからなかった。学校によりけりで、禁止でも自由でも良いと思う。一律に禁止はダメとするのも恐ろしい気がする。

      
  • 匿名 says:

    三者会議良いですね。校則は、生徒有りきです。自分の言動に、責任の取れる人を育てて欲しいです。

      
  • 匿名 says:

    髪型なんか個人の自由でいいじゃないですか
    私は怖い印象を受けるのでいいとは思うことはないですけど

      
  • 匿名 says:

    意味のわからない校則を作るなら、もっと人として正しい道理を説く校則を作るべきでは?
    相手を敬い、互いに理解、協力するような、道徳心を養える教育を、今の時代だからこそ、力をいれるべき。同じ人間同士の、つまらないイジメで命を落とすような、そんな馬鹿げた事こそを止める事が教育で大切な事では?
    この世に生を受けて、何より大事にしなきゃいけないのは、命です!これより大事な事がありますか?
    学校教育、勿論家庭でも、もっと道徳心を養う教育をするべきです。校則はまず、最低限のその一歩だと思います。

      

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