PTAに無縁だった私が会長に 関わるようになったきっかけは…

(2021年4月21日付 東京新聞朝刊)
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オンライン会議の準備をしながら「これからは集まらなくていいツールが必要」と話す吉田わかなさん=東京都青梅市で

 昨年度、東京都青梅市立今井小学校PTAで副会長を務めた吉田わかなさん(53)。活動をオンライン化した手腕と温かな人柄を買われ、本年度の会長に推されました。それまで無縁だったPTA。積極的に関わろうとしたきっかけは、孫の誕生を機に抱いた、次代の保護者が参加しやすい組織に変えたいとの思いだったという吉田さんにPTA活動との関わりについて語ってもらいました。 

2年前「この年限り」のつもりで委員に

 2年前までPTAに関わる余裕はない人生でした。

 25歳で長男(27)、42歳で次男(11)を出産。次男が生まれて約1年後、夫(55)の青梅市の実家に転居しました。義母(89)との同居が始まってまもなく、私の両親が離婚。直後に父が倒れ、近くの療養施設に呼び寄せての介護が始まりました。義母も少しずつ介助が必要となり、仕事と子育ての上に、負担は重なる一方でした。

 それまで縁のなかったPTA活動を始めたのは2019年度、当時小学4年の次男のクラスで、ある委員を引き受けてから。父の容体悪化がきっかけで、通訳・翻訳と英語講師をフルタイムで務めていた企業を辞め、フリーランスになったばかり。PTAはこの年限りのつもりでしたが、「次は本部役員に」と誘われました。

若い世代の忙しさ知り「私の役目かな」

 仕事と介護を理由に断っていたのですが、2019年6月に父が亡くなり、年末には、義母も夫の姉が住む埼玉県の施設へ。そんな時に再び頼まれ、「断る理由がないな」と思ったんです。

 その前年に長男夫婦に子どもが生まれ、仕事や子育てに忙しい若い世代の生活を身近に見聞きするようになりました。「長男世代の保護者が参加しやすいPTAに変えるために、できることをするのが祖父母世代の私の役目なのかな」。そう感じて2020年度の副会長を引き受けました。

SNSの導入と自動翻訳でオンライン化

 コロナ下での船出でしたが、逆にオンライン化や効率化の追い風となり、「学校に何度も集まり、何度も打ち合わせをして」という負担の大きいやり方を変えました。活動にビジネス用のSNSを導入。その自動翻訳機能を使うことで、外国出身の保護者も参加しやすくなりました。多文化、多言語の世界でITツールも使いながらコミュニケーションを取ってきた仕事での経験が、役に立っていると感じます。

 24日の総会で承認されれば新会長に就きます。根底にあるのは「恩返し」です。自分は若い時、運動会も、行って座って応援するだけでよかった。でも、その裏で動いていてくれた多くの先生や保護者、地域の人の存在に気付きました。昔よりは余裕ができた今、自分なりにできることを地域にお返ししていきたいと思っています。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年4月21日

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