グレタさんから勇気、日本の若者に広がる社会運動 神奈川の高校生「県立高の電力を再生エネに」ネット署名に1万4000人が賛同
「子どもでも、意思表示ができるんだ」
企画したのは「ふきたろう」のハンドルネームで活動する神奈川県立高校2年の女子生徒(16)だ。友人らと相談し、ネット署名を始めた。
「学校で地球にやさしい電力を使いたい」。署名サイト「Change.org」で3月、こう題しキャンペーンを始めた。「行動力に触発された」「考えもしなかった」と応援が連なり、署名は1万4000人を上回る。
かつては気候危機を知りながら「やばいんだろうな」と思うだけだった。変わったきっかけは、同世代のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)だ。学校を休んで政府に地球温暖化対策を要求する「学校ストライキ」を続ける姿を中学生時代にニュースで知り、「子どもでも意思表示ができるんだ」と、踏み出す勇気をもらった。
8月に知事に提出予定「未来は変わる」
親に相談して自宅の電力を再エネ100%に変更してもらった。学校の事務室や県に問い合わせ、契約する電力が再エネ100%でなく、当面変更する予定がないことを知った。神奈川県の事業が排出するエネルギー起源のCO2のうち、県立高校分は1割弱を占める。「温暖化の影響で災害が起きれば、多くの人が悲しむ。未来をつくる学校が未来を壊すのはおかしい」
6月には、自身や友人が通う高校で署名を集め、8月にネット署名と合わせ黒岩祐治知事に提出する予定だ。県は2050年までに県立施設で使う電力をすべて再エネで賄うことを目指しているが「今年からでも切り替えてほしい」と転換を迫る。
署名活動が県外の学校を、各家庭を、国を変える道につながることを願う。「ずっと先の世代にも、すてきな世界を残したい。一人一人が自分の目の届く範囲で行動していけば、未来は変わるはず」
Change.orgで署名が活発化 行政を動かす例も
Change.orgの広報担当者によると、近年は「ふきたろう」さんのような若者の署名活動が活発化している。特に新型コロナウイルスの感染が広まった昨年春以降は、小中高校の休校延長や大学の学費減免を求める350以上の運動が始まった。
行政が動いた例もある。東京都江戸川区立中の制服を性別に関係なく選べるようにしてほしいと区内の高校生が求めた活動には1万1000人超が賛同し、昨年8月の署名提出を受けて区は各校へ検討するよう要請した。
静岡県富士市では、高校生が訴えた公立小中学校へのエアコン設置が、当初予定より1年前倒しで実現した。
立命館大の富永京子准教授(社会運動論)は「若い世代は路上でのデモやストライキではなく、一人で静かに行う運動を好む。コロナ禍で広がったオンラインの社会運動で、さまざまな声が可視化されたのを見て、自分も声を上げていいと思うようになっているのではないか」と指摘している。
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