学校休ませた方がいい? LINEで20項目のチェックリスト 行きたくない子の様子を伝えると精神科医が回答
相談窓口につながるボタンも
公開された「学校休んだほうがいいよチェックリスト」はLINEで友だち登録し、不登校の予兆となる20項目で「はい」「いいえ」を選ぶ。項目は「1週間以上、欠席が続いている」「朝食、身じたく、トイレ等に時間がかかりすぎて遅刻することがある」など。リストを監修した精神科医が回答する。
LINEの画面には相談先を探すボタンもあり、複数のオンライン相談窓口のサイトにつながる。
休む必要がある子追い詰めない
リストの制作団体の1つで、NPO法人全国不登校新聞社(東京都文京区)の石井志昂(しこう)代表(41)は、「休みが必要なのに無理して学校に行くのは不登校より問題が深刻だ」と指摘する。
石井代表によると、こうしたリストは自治体なども作るが、「休んだほうがいいよチェックリスト」は、点検項目を子どもの態度や行動に絞り、親や先生の主観が入りにくくした。「基準が分かれば、休む必要がある子どもを追い詰めないで済む」と狙いを明かす。
別の制作団体で、不登校生向け個別塾「キズキ共育塾」(渋谷区)相談スタッフの半村進さん(41)は「子どもや家族だけで悩まず、支援団体に相談してほしい」と呼びかけた。制作オンラインフリースクール「Branch」の運営会社(渋谷区)も協力した。
アプリの登録や利用は無料。3団体はリストの維持費を賄うため、クラウドファンディングで寄付を募っている。
監修の精神医師「不登校は防御反応」
チェックリストは、精神科医で国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の松本俊彦・薬物依存研究部長=写真=が監修した。「不登校は子どもが自分の命や心を守る『防御反応』ではないか。子どもに『学校に行きたくない』と言われた親はすごく悩むだろうが、大事をとって休ませることも考えてほしい」とアドバイスする。
「防御反応」と考える背景に、自身を含む研究グループが2010年に発表した論文がある。国内の10~20代の自殺者を分析したところ、多くが小中学校時代に不登校を経験し、うち75%が学校に復帰していた。一方、精神科の診療で会う不登校の子たちは、そのまま学校をやめる場合が多かった。「学校を休む選択肢はすごく大事なのではないか」と考えた。
休ませた後、専門的な団体の支援を必要とする場合もある。「しばらく休むことで子どもが自然に力を取り戻すケースもある。チェックリストは親の決断を後押しするための目安として活用してほしい」と言う。