野球で有利なのはどっち? 「ヘッドスライディング」vs「駆け抜け」

深世古峻一 (2018年5月8日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

 内野ゴロを打った打者の一塁への到達が速いのは「駆け抜け」か「ヘッドスライディング」か。野球好きの間で長く議論となっている疑問の解決に取り組んだ立命館大スポーツ健康科学部の岡本直輝教授(コーチング学)らが出した答えはヘッドスライディング。ただし、高度な技術も必要という。 

0.05秒差でヘッドスライディングに軍配

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ヘッドスライディングの計測の様子。上手な選手は踏み切った際に頭を大きく前に出すようにして跳ぶ=滋賀県草津市の立命館大びわこ・くさつキャンパスで(岡本直輝教授提供)

 
 岡本教授とゼミの学生は昨年6月から、甲子園出場経験者も多い立命大準硬式野球部で、ヘッドスライディングの経験のある部員15人を対象に調査した。
 
 トップスピードに到達する一塁ベースの7メートル手前からベースに触れるまでのタイムを、ヘッドスライディングと駆け抜けでそれぞれ計測。使用したのは、7メートル手前を通過するとライトが光る光電管装置と、240分の1秒まで撮影できるハイスピードカメラで、1人3回の平均値を比べた。
 
 この結果、ヘッドスライディングの方が速かったのが12人だったのに対し、駆け抜けは3人。全体の平均値でもヘッドスライディングの方が約0.05秒速かった。
 
 調査結果は京都滋賀体育学会で発表された。岡本教授によると、これまでも同様の研究はいくつか学会で発表されてきたが、ストップウオッチを用いるなどしたため結果にばらつきがあり、どちらの方が速いのかはっきりしなかった。

高度な技術が必要→筋力が発達しきっていない小中学生は?

 ヘッドスライディングはチームの士気を上げる精神的な利点が語られてきたが、駆け抜ける方が速いという見方が一般的だった。岡本教授は「計測方法を工夫して精度の高い研究ができた。身に付ければ有効な技術ということが実証できた」と語る。
 
 ただし、駆け抜けより速いヘッドスライディングには「前提」がある。体をピンと伸ばして地面と平行に跳ぶ技術が必要だ。習得には高い身体能力と強い背筋力が不可欠で、一歩間違えば突き指などけがの危険も伴う。
 
 岡本教授は「筋力が発達しきっていない小中学生はヘッドスライディングをやらせない方が無難」と指導者に注意を促す。「まずは器械体操の飛び込み前転のようなトレーニングで、手に負担をかけない着地を身に付ける必要がある」とアドバイスしている。

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