俳優 大西利空さん 学校休みがちになっても、ただ見守ってくれた母 ゲームをする僕に…

(2024年9月1日付 東京新聞朝刊)
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大西利空さん(稲岡悟撮影)

家族のこと話そう

好きなことさせてくれた両親

 家族は両親と祖母、それに愛犬。曽祖父が野球好きだったこともあり、家族は代々、野球が大好き。僕は小学生のころ、クラブチームに入っていました。子役の仕事をしていたので、擦り傷や日焼けが気になって、中学以降はプレーしなくなりましたが、今もよくプロ野球の観戦に行きますし、夏の高校野球は地方大会からチェックしています。

 両親の影響でゴルフも好きです。昨年末に練習を始め、今年になってコースデビューをしました。たまに母と休みが合う日にラウンドを楽しんでいます。父は腰を痛めているようなので、体調が万全になってから一緒に回ろうと話しているところ。父には負けたくないですね。だんだん家族と接する機会は減っていくと思いますが、野球にしてもゴルフにしても、こうして共通の趣味を通じて、家族で盛り上がることができるのはいいなと思っています。

 僕が何かやりたいことがあると、両親はいつもやらせてくれました。中学受験もそうでした。小学3年のとき、ある学校に憧れて「入りたい!」と思い、学習塾に通い始めました。一時は宿題が多すぎて嫌になり、塾の時間にこっそり野球をしていたことも。本番が近づいても、ゲームで遊ぶこともありましたが、親は「勉強しなさい」とは言いませんでした。家ではくつろげるようにしてくれていたのかもしれません。

 受験には合格できました。ただ中学1年の夏ごろ、受験で頑張りすぎた反動か、勉強をしたくなくなり、学校を休みがちになった時期がありました。そのときも、母は「行きたくないなら行かなくていい」と見守るだけ。むしろ僕がゲームをやっていると、その画面を後ろからのぞき込んで、「こうした方がいいんじゃない?」と一緒に楽しもうとするぐらいでした。

受験のストレスは分かるから

 出演中のドラマ「スカイキャッスル」では、医大付属高校の受験を控えた子どもがいるさまざまな家族が描かれています。僕は受験によって深い闇を抱えてしまった中学3年生の役。演じた中では、家出した僕を連れ戻そうとする母親に、「地獄には二度と戻らない」と言い放つシーンが印象に残っています。

 受験のストレスは大変なものと分かっているつもり。勉強を強要されたり、親からグチグチと言われたりしては、余計にストレスがたまるだろうなと共感しながら演じました。ただ、親も子どもを愛するがゆえの行動なんだろうなとも感じています。

 僕が新しい家族を持つのはまだ先かもしれませんが、理想は自分の今の家族。互いに干渉しすぎず、それぞれに趣味も持っているけど、共通の楽しみもあるような。子どもの立場も尊重したい。自由でフラットな感覚でいられる家族がいいなと思っています。

大西利空(おおにし・りく)

 2006年、東京都生まれ。生後5カ月から芸能活動を始める。主な出演作は、ドラマ「どうする家康」「さよならマエストロ」のほか、映画「キングダム」「るろうに剣心 最終章 The Final「水は海に向かって流れる」など。ドラマ「スカイキャッスル」(テレビ朝日系、毎週木曜午後9時~)では、エリート医師の一人息子で、心に闇を抱える中学生・冴島(さえじま)遥人を演じている。

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