「こども家庭庁」2023年度に創設へ 予算は確保できるの? 子どもの権利の法整備は? 問われる政府の本気度
「こども庁」だったのに…自民の「家庭が基盤」の意見で変更
厚生労働省が担当している児童虐待や障害児への対応、内閣府が担う子どもの貧困対策などの担当部署がこども家庭庁に移されるが、幼児教育や義務教育は引き続き文科省が担当。いじめ対策は、文科省とこども家庭庁が情報を共有し、対策を検討するという。
省庁の名前は「こども庁」が挙がっていたが、自民党などから「子どもの育ちは家庭が基盤」などの意見が出たことで、こども家庭庁となった。
日本の子ども関連予算は英国やスウェーデンの半分 GDP比たった1.65%
野田氏「本気なら3%が必要」
政府は、こども家庭庁創設に向けた基本方針を踏まえ、虐待やいじめ、貧困などから子どもを守るための政策の拡充を図る方針だ。だが、予算面の裏付けは乏しく、安定財源の確保が課題となる。1994年の「子どもの権利条約」批准を受けた国内法整備も遅れている。基本方針で「こどもの最善の利益」を理念に掲げる政府の本気度が問われる。
日本の子ども関連予算は欧州に比べ低水準だ。2021年度版少子化社会対策白書によると、「家族関係社会支出」の対国内総生産(GDP)比は1.65%(2018年度)にすぎない。2017年度で3%超の英国やスウェーデンの半分程度だ。野田聖子こども政策担当相は「本気で人口減少と向き合うなら3%が必要だ」と強調する。
国連が法整備を勧告 日弁連も
だが、基本方針では関連予算の財源について「社会・経済が連帯し、公平な立場で広く負担する新たな枠組みを検討」と記すにとどまった。日本大の末冨芳教授(教育政策)は「子ども政策の財源を増やすのは当然で、政治が国民の理解を得る役割を果たすべきだ」と話す。
子どもの基本的人権を国際的に保障する「子どもの権利条約」を巡っては、実施状況を監視する国連の権利委員会から、子どもに関する包括的な法整備を勧告されている。これに対し、日本政府は児童福祉法など個別法で対応する立場を取ってきた。日本弁護士連合会は、児童虐待や子どもの自殺が増加する一因を「日本で子どもの権利主体性を踏まえた対策が講じられていない」ことだと指摘。政府に「子どもの権利基本法」の早期制定を促す。子ども政策を議論した政府の有識者会議も、政策の基盤となる「こども基本法(仮称)」の制定を求めており、国会での議論が急がれる。
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