神奈川県の「保育園はクラスター発生でも運営継続」通知に、保育所と保護者の団体が撤回要望「リスク高すぎ」

志村彰太 (2022年2月25日付 東京新聞朝刊)
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要望書の提出後に取材に応じる(左から)橋本さん、横田さん、小林さん、紺野さん=神奈川県庁で

 新型コロナウイルス感染者が出ても、神奈川県保健所が所管する市町村にある保育所は原則運営を継続するよう求めた県通知を巡り、保育所経営者でつくる「神奈川県民間保育園経営研究会」と、保育所や保護者らでつくる「神奈川県保育問題協議会」は24日、県に通知の撤回と対応の改善を求める要望書を提出した。

「市町村の判断で休園も可」だが

 神奈川県が18日に出した通知では、社会活動の継続のため、保育所にはクラスター(感染者集団)が出ても運営を継続するよう求め、保健所は濃厚接触者の特定をやめることが記載された。ただ、市町村の判断で休園することも可能とした。

 要望書には通知の撤回に加え、「保育所職員への定期的なPCR検査の実施」「保育所利用家庭への抗原検査キット配布」「保育所職員へのワクチン接種の加速」など6項目を盛り込んだ。提出後、取材に応じた同研究会の小林忍・代表世話人によると、対応した県次世代育成課から具体的な回答はなかったという。

 小林さんは「何が何でも開園しろ、というのはおかしい。保育所は勤務時間が長く、職員が無料のPCR検査に行く時間がない。少なくとも定期的な検査をしてほしい」と話す。同協議会の紺野広巳さんは「医療的ケアが必要な子を預かっている保育所もある。濃厚接触者を特定せず、子どもが登園を続けるのはリスクが高すぎる」と危機感をあらわにした。

「守るべき対象となっていない」

 一方、神奈川県は感染した場合に入院する割合が高いとして、1歳以下の子どもは重点的に健康観察している。紺野さんは「(原則開園の方針と)矛盾している」と県の対応を批判した。

 また、いずれも鎌倉市内で保育所を運営する横田博行さんと橋本志津恵さんは、「県に、どのように感染を止めようとしているのか質問しても回答がなかった。保育所は守るべき対象とはなっていない」「子どもは重症化しにくいというが、子どもが感染を広げることもある。お年寄りや病気のある人がいる家庭もある」と、それぞれ訴えた。 

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年2月25日

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