食べるのが遅い年長の娘 小学校入学が心配〈子育て相談 すくすくねっと〉

海老名徳馬

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 年長の娘は食べるのが遅く、給食の時間が短くなる小学校が心配-。昨年11月12日に公開した母親(46)からの相談には、同じような経験を持つ人やその保護者らから多くの回答が寄せられた。専門家のアドバイスと併せて紹介する。

夕食に2時間、給食も食べ終わらず…

 年長の娘は食べるのが遅いです。どろどろになるまでのみ込まず、夕食に2時間かかることも。給食は量を減らしても時間内に終わりません。軟らかいお菓子なら次々に食べますが、食事に執着心がないよう。小学校では給食の時間が短くなり量も増えるので心配です。(名古屋市緑区・46歳)

食卓を楽しい雰囲気に

 読者の声で目立ったのは、まず食卓を楽しい雰囲気にしてはという提案。東京都足立区の女性(45)は、双子の娘が小さな頃から食べるのが遅いといい「食事それ自体を嫌いにならないよう、学校での出来事を尋ねるなど会話を多くするように心がけてきた」と語る。

 時には「決められた時間で食べ終わったら、ご褒美を買ってあげる」などと声をかけてみたというが、効果は無し。ただ、娘たちは高校に入学してから部活などで忙しくなり「必要に迫られて早く食べられるようになった」。子どもが思うように食べてくれなくてもイライラせずに「今は楽しい食卓の思い出をつくっていけば、いつか笑って思い返せるのでは」と勧める。

量減らすリクエストを

 東京都中央区の女性(46)は、小学校低学年の頃を思い出し、「食べ物をかみ砕いてものみ込めなかった感覚が残っている」と明かす。「のみ込むタイミングがよく分からなかったのか、かむだけで疲れていたのか」。理由ははっきり覚えていないが、好き嫌いが多く給食も憂鬱(ゆううつ)だったという。

 中学年になると学校を楽しく感じるようになり、次第に食事や給食の時間が「気にならなくなった」。自身の経験も踏まえて「しばらくすれば友達に感化されて、食べる量が増えてくるかも」と話す。

 今は小学校に勤務し、「大盛りの給食をがつがつ食べている」と笑う。給食の量を個別に減らしてほしいという児童側からの申し出はかなりあるという。「先生によって対応はいろいろだが、絶対に食べさせるという風潮はもうない。連絡帳などで保護者から先生に直接伝えてください」と助言する。

入学直後は配慮あり

 小学校の支援員として1年生の給食を補助しているという愛知県豊橋市の女性(43)は「入学してから慣れるまでは4時間目の途中から給食の準備を始めて、ゆったり食事できるよう配慮している」と説明する。

 自身にも年長の長女がいて、嫌いな食べ物が多いそうだが「小学校の給食は、食材や味付けの幅が保育園などよりもずっと広がる。みんなと同じものを少しずつでも食べられれば自信につながる」と期待する。

考えられる原因は? 専門家に聞く

奥歯、舌、姿勢? まずは様子を観察して

 子どもが食べるのが遅い原因には、どんなものがあるのか。教育者向けに給食の情報をネットで発信している月刊給食指導研修資料(きゅうけん)の山口健太編集長は「さまざまな理由が考えられるので、まず子どもの様子をよく観察することが大事」と指摘する。

 山口さんの経験では早く食べるための機能を獲得できていないことが多い。中でも目立つのは、食べ物をすりつぶすための奥歯でかめていない場合。奥歯を使うよう促してもできない時は、舌がうまく動かせていない可能性がある。

 奥歯に食べ物を送る舌の左右の動きは、前後や上下の動きよりも後に身に付くとされる。発達は個人差が大きく、習得が遅い場合もよくある。山口さんは「奥歯でかむと口角がねじれるので、かめているか見極めて」と話す。

 かんでいる時間が長い子は、のみ込む力が足りないことも。特に大人がせかすと「敏感な子どもは緊張して食べにくくなる」。

 ほかにも乳歯が不安定、はしなどの食器の感触が気になる、机やいすが体格に合わず姿勢が崩れている-など、原因は多岐にわたる。山口さんは「気になる場合は小児歯科や言語聴覚士に相談を」と語る。

3分食べない状態が続いたら片付けてOK

 「外遊びの機会を増やしたり、おやつの時間に空腹そうなら、おにぎりなどをあげてみては」。そう回答したのは、食べるのが遅いとの悩みに日々接している小児歯科の歯科衛生士、山崎之枝(ゆきえ)さん(46)=さいたま市南区。おなかがすいていなかったり、食が細かったりすることも多いからだ。

 一方で、口の中に問題がある例も少なくない。舌の裏にある舌小帯が大きかったりこわばっていたりすると、うまく動かせず、かんだりのみ込んだりに時間がかかる場合も。舌を動かす練習をして手術することもあるという。のどの奥の口蓋(こうがい)へんとうが大きくなり、のみ込みにくい場合には、耳鼻咽喉科の診察を勧めることもあるそうだ。

 いずれにせよ、食べるのが遅いと食事時間が長くなりがちだが、「食べない状態が3分続いたら片付けていい」と山口さん。食べなければという子どものストレスが軽くなり、時間内に食べる意識にもつながる。

 また、前提として食事が「リラックスできる、楽しめる場であることが大事」とも。「早く食べてほしい気持ちが子どもの重圧になっていないか気を付けてあげてほしい」と訴えた。

元記事:中日新聞 CHUNICHI Web 2023年1月6日

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  • かゆい うま says:

    なるほど、確かにただ食べるのが遅いにしてもいろいろな理由が考えられるわけか
    勉強になります

    かゆい うま
  • 素人の考えで恐縮です says:

    素人考えですが、もし、「食べるのが遅いこと」について、医療機関で相談したことがないのであれば、
    ①小児歯科で相談して歯の状態や口腔機能を詳しく調べてもらうことと、
    ②小児消化器科で逆流性食道炎等の病気が隠れていないかどうかを確認してもらうことを、
    対応の選択肢に入れてもいいのでは?という気もします。
    「食べるのが遅い幼児」について、一般的にどう考えたらよいか、小児歯科医・小児口腔外科医・小児消化器科医・言語聴覚士・小児精神科医等の専門家の方々のコメントを読んでみたいと思いました。東京新聞さん、是非、取材・記事化をお願いします。

    素人の考えで恐縮です 女性 40代

どのように対応するのがよいでしょうか。アドバイスや体験をお聞かせください。

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