大学共通テスト、異例の救済策に揺れる受験生「いっそコロナにかかった方が…」 直前に感染、濃厚接触者になったらどうすればいい?
文科省の通知「個別試験のみで合否判定を」
シーンと静まりかえった緊張感漂う教室。東京都杉並区の「嚮心(きょうしん)塾」では12日午後、受験生十数人が黙々と勉強に取り組んでいた。
文科省は11日、新型コロナの影響で共通テストを受けられない受験生の救済策として、国公立大の二次試験など個別試験のみで合否判定を可能にするよう各大学に通知した。共通テストを受けないことが逆に有利に働くのではという疑念には、12日に「各大学が厳格に判定するので、有利にはならない」とホームページで否定した。
二次試験では「総合的な学力を測れない」
昨年に続きコロナ禍で受験する男子浪人生(20)は「政府の方針がコロコロ変わりすぎ。受験生への配慮が感じられない」と不満を漏らす。国公立大の医学部志望で、二次試験は理数科目中心だが、共通テストは文系科目も受験が必要だ。「共通テストを受けなければ総合的な学力を測れないのでは」と指摘する。
同じく医学部志望の高校3年女子生徒(18)は「わずかな点差で合否が決まるかもしれないのに。いっそコロナにかかった方がいい、と考える子もいると思う」と話す。別の高校3年の女子生徒(17)は「政府の対応に追い付くのが大変」と困惑した表情だった。
「テスト免除では、公平性に疑問が残る」
塾長の柳原浩紀さん(45)は「受験機会の確保と感染対策の両立は難しいが、テストの免除などを認める今回の救済策は公平性に疑問が残る」と指摘。「学力が正確に評価されたのか、受験生や保護者が不安を抱かずにすむような対応をしてほしい」とも注文した。
一方、大手予備校「河合塾」の新宿校には、今のところ文科省の通知に関する相談や問い合わせはほとんどないという。最上芳光校舎長は「受験生には、まずは体調管理をしっかりとして努力の成果を試験会場で出せるように声をかけている。落ち着いて、気負わず、いつも通り力を出して頑張って」とエールを送る。
受験生に気を付けてほしいこと 直前・当日の連絡先は?
感染したら追試の手続き、濃厚接触者は受験票の「問合わせ大学」に電話
Q 試験場の感染防止策は。
A 大学入試センターは、受験者・監督者らのマスク着用や、消毒剤の常備といった基本的な対策のほか、座席間隔を1メートル以上空け、各科目終了後に窓をすべて開けて10分以上換気をするなどとしています。
Q 直前に新型コロナに感染したら。
A 回復するまで受験できません。受験票に記されている「問合せ大学」へ電話し、29、30日に行われる追試験の受験手続きをしてください。
Q 回復せず追試験も受けられない場合は。
A 文部科学省は全国の大学に、個別試験で合否判定をするよう通知しました。個別試験や各大学が設定する追試験も受けられない受験生には、面接や書類選考中心の「総合型選抜」を実施し、4月以降の入学を認めるなどの柔軟な対応も求めています。
Q 受験前に濃厚接触者となった場合は。
A (1)PCR検査で陰性(2)受験日に無症状(3)試験場へは公共交通機関を使わない(感染対策済みタクシーを予約した場合を除く)(4)別室受験―の条件をすべて満たせば受験できます。濃厚接触者となった場合は14日午前10時までに、受験票記載の「問合せ大学」に電話してください。
Q 2週間ほど前から体温を記す「健康観察記録」で記入忘れをしたが。
A 記入が漏れていても受験できないことはありません。「健康観察記録」がとじてある冊子「受験上の注意」をそのまま試験会場に持参してください。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年1月14日][元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年1月14日]
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