こども基本法案、焦点は「子どもの権利擁護の独立機関を新設するか」 政府・与党案と立民案の違いは?
与党案は「コミッショナー」設置見送り
与党案は来年4月に予定されるこども家庭庁発足後も子ども政策の策定、実施が各府省庁にまたがることを踏まえ、基本理念を定めている。具体的には、日本が1994年に批准した「国連子どもの権利条約」などの精神にのっとり、全ての子どもに意見表明の機会が確保されることや、最善の利益が考慮されることを求めた。
効果的な政策の立案などにつなげるため、首相や関係閣僚でつくる「こども政策推進会議」の設置を盛り込み、付則には施行後5年をめどに施策の実施状況を評価する仕組みづくりを検討すると明記した。公明党が昨年の衆院選公約で掲げた独立機関「子どもコミッショナー」の設置は、人選の難しさなどを指摘する自民党の反対で抜け落ちた。
立民の対案は「コミッショナーを設置」
国会では政府案と与党案に加え、立民の対案も並行して審議する方向だ。与野党は事前協議で議員立法の一本化を模索したが、合意に達せず、全てをテーブルに上げて一致点を探る。
立民が3月1日に国会提出した対案は文部科学省が担う幼稚園や小中学校の教育行政も移管し、こども政策を一元的に担う「子ども省」を新設することが柱。与党案には入らなかった独立機関新設に加え、児童手当の支給を現行の中学生までから高校生までに延長することや、関連予算を欧州並みの対国内総生産(GDP)比3%以上に引き上げる目標を示す。
末冨芳教授「必要なら検討されるべき」
立民の子ども政策を主導する議員は「独立性があり、中立性を担保した常設の組織が必要だ。対案の要求は高いが、議論の余地はある」と指摘。与党側が一定の修正に応じることを条件に、政府案と与党案への賛成にも含みを持たせる。
日本大の末冨芳教授(教育行政学)は「基本法の意義は、子どもの権利が包括的に位置付けられた初めての国内法であること。省庁設置だけでなく、政策を実証しながら、必要ならば独立機関が検討されていくべきだ」と話した。
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