（長壁綾子撮影）

　ねえ、おぼえてる…？　明かりを消した部屋のベッドで交わされる母と子の会話。パパと3人で野原へピクニックに行った時のこと、ぼくの誕生日のこと、嵐の夜のこと。そして…。

　楽しく幸せなひととき、痛みを伴う思い出を、母と子それぞれの目線で描く。そして、新たな人生を踏み出す2人に朝の光が注ぐ。

　児童文学界のノーベル文学賞とも言われる国際アンデルセン賞画家賞に選ばれた作者が、自らの子どもの頃の体験を3年がかりで描いた。圧倒的な画力で、一つの映画を見たような読後感を味わえる美しい絵本。

　1760円。偕成社＝電話03（3260）3221。