福島瑞穂参院議員 子どもが教えてくれた 人生で大事なことは愛する人と生きること〈ママパパ議連 本音で話しちゃう!〉

子育て世代がつながる

本音で話しちゃう!のタイトルカット

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 子どもを育てていた当時、川崎市の公立中学校には給食がなかったので、お弁当を作ってから電車で国会に通った。子どもがお弁当を忘れていった時には、中学校まで走ってお弁当を届け、また家に帰って慌てて国会に駆けつけるということもあった。議員になろうと立候補を決意したのは、娘が小学校を卒業する時だった。ようやく決意ができた。

 子どもがいたら楽しいだろうなあと思い、妊娠し、出産。弁護士をしながら、ドタバタ子育てをしてきた。もう少しで示談が成立するという時に、トイレに行き、腕時計を見る。保育園のお迎えの時間と示談が成立するのと時間との競争だ。今日成立しなければ、またゼロからやり直し。成立しないかもしれない。だから今頑張らないといけないのだが、なかなか決まらない。保育園のお迎えがまたまた遅くなってしまう。保育園のお迎えと競争しながら、時に神経が焼き切れるような思いをしながら子育てをしてきた。

 夫は、料理を作ったり、子どもに本を読んで聞かせたり、子どもと関わることをとても楽しみにしていて、子どもはむしろパパっ子に育った。夫も弁護士をしていて、子どものお迎えに行く日がちょうど半分半分になるように当番制をしいて、あらかじめスケジュールを調整する。夕方近くに法律事務所に夫から電話がかかってきて、泣きが入る。「今日どうしても都合が悪くなったから迎えに行ってほしい」「えええ、わたしだって予定があるのに」と言い争いになり、日々調整の連続となる。

 裁判所に娘を連れて行って、弁護士の隣の席に座らせ、「シー、静かにしててね」と言って、裁判が終わればそれから一緒に遊びに出かけたこともある。日曜日、検察官に面会に行くのに、日比谷公園でブランコで遊ばせて、それから検察庁に一緒に行ったりした。土曜日や日曜日に講演会に行く時、よく一緒に連れて行った。お絵かきなどをしながら私の話を聞いてくれた。北海道の留萌に講演に行った時も連れて行き、ホテルで待ってもらっていたりした。国会議員になって、もちろん忙しくなったけれども、もともと弁護士時代に仕事と育児の両立で、バタバタしていたので、その延長線で過ごすことができたようにも思う。

 子育ては大変だけれども面白い。子どもとの関係が新発見であり、また、自分の子ども時代をもう一度生きていくような、童心に戻れてハッピーな時間である。

 手元に娘が小学校2年生の時に母の日にくれた手紙がある。

 「お母さんありがとう。いろいろお手つだいしてくれてありがとう。私もお手つだいしてあげます。とてもうれしいです。」

 大笑いである。「お手つだい!」。私は子育てをしていると思ったのに、娘にとっては「お手伝い」なのである。でも言い得て妙である。子どもは背が低いので高いところにあるものを取ることができないが、台があれば取ることができる。そのように親は子どもが何かをすることのお手伝いをしているのかもしれない。

 そして娘の手紙でとても面白いのは、私が娘にしているのはお手伝いであり、娘も私にお手伝いをしてくれているのである。それは相互的で極めて対等である。でも考えてみたら、親であろうが子どもであろうが、大人であろうが子どもであろうが、お互いにお互いの人生に対して「お手伝い」をしているのかもしれない。「とてもうれしいです。」と書いてあるのも嬉しいではないか。

 このように、今までの自分の感覚や考え方が壊されて、新発見がある。毎日が新発見で、毎日が新しい。子どもの凄まじい成長力に本当に追いついてこちらも成長していかなければならない。そんな刺激的な、でもゆったりとした日々である。

 子どもとの時間は、ゆったりしていて、仕事で得られる時間とは全く違うものである。仕事は効率や成果が大事。子どもとの時間はこの効率や成果とは全く関係がなく、一緒にいることそのものがとても貴重であるという時間である。自分の人生において、仕事だけの人生にならなかったことは本当に良かったと思っている。

 子育てのために週の半分は早く帰って、子どもと一緒にご飯を食べ、おしゃべりをして、今日あった良かったこと悪かったことをおしゃべりしながら、夜眠りにつく。付き合いで飲んだり、ご馳走を食べる時間よりも何よりも、子どもとご飯を食べておしゃべりする時間が正直楽しかった。お手伝いさんやベビーシッターさんや家政婦さんや祖父母もいない。ママ友や、近所の人たちに本当にお世話になったけれども、基本的には夫と分かち合って子育てをしてきた。それも本当に良くて、夫と娘の関係はとても良いものになったように思う。

 前回、鈴木貴子さんが、学校で男女問わずもっと家庭科を教えたらどうかということを書いていらしたが、それは本当にそうである。一度もやったことがないことよりも少しでもやったことがあればずっと楽にやることができる。私は、高校時代まで親と一緒にいたが、ほとんど母親の料理等の手伝いをしなかった。ところが、夫のほうは、夫の母親が料理をしっかり教えていたのである。大学時代に、外食ばかりでなく自炊をした方が体に良いと彼女は考えたようで、自分の息子に様々な料理を教えていた。だから一緒に暮らし始めた時にはるかに彼の方が料理ができたのである。今でもそうである。女の子にも男の子にももっと家庭科、そして、女の子にも男の子にも家で料理や様々な家事を教えたり、手伝わせたりすることが必要なのだと思う。

 家事育児の半分ずつを担っていく、家事の中身は様々かもしれないけれども、半分ずつ担っていく、子育ての時はお迎えが一番大変で、迎えに行くことを半分ずつ担う。保育園に送って行くのがパパで、迎えに行くのはママというようにしない。

 子どもが、ママもパパも大好きというようになるように、ママが家事育児を背負いすぎて、不満をかかえ、パパや子どもに当たるということがないように、工夫をしたらいいと思う。大喧嘩ではなく、半分ずつ担うことを相談し、確認し、話し合っていったらいいと思う。そうでなければ、女性が長期間家を空けたりできなくなってしまう。

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 それともう一つ。子どもがパパのことを大好きになるように、心を砕くことも必要ではないか。私は友人から、「母親がよく『あなたたち子どもさえなければお父さんと離婚していたのに』と言っていて嫌だった」という話を聞いたことがある。お母さんとすれば、子どもにしか愚痴を吐けなかったのかもしれない。自分が離婚を選択しないことを子どものせいにしないでと思うが、母親は家の外の人に愚痴を言うわけにもいかず、子どもは往々にして、母親の愚痴のはけ口になったりする。

 子どもは、敏感だから、母親の心象風景そのものを一緒に生きてしまう。だから、母親が、機嫌よく、自分とも人生ともうまく折り合いをつけ、うまく気晴らしもしながら、生きていくことが必要であると思う。もし母親が「パパは帰りが本当に遅いわね。パパはママやあなたたちを愛していないのよ」と子どもたちに言い聞かせていたら、子どもはそうだと思い、あるいは、母親の手前父親になつくことをしなくなるのではないか。

 自分の心を偽れと言っているのではない。できるだけ自分がハッピーに生きていけるように努力し、また、子どもがパパのことを大好きでいられるようにすることも必要なのではないか。子どもにあなたが生まれてきたときに本当にどんなにうれしかったか、どんなにあなたが望まれて生まれてきた子どもなのか、どんなにママやパパはあなたを愛しているか語ると本当にうれしそうにニコニコする。子どもは愛情を食べて生きる生きものである。

 ママはパパのこんなところが大好き、パパのこんなところを尊敬している、パパのこんなところはとってもいいところだよね、と言うと子どもはパパを尊敬し、やっぱりパパのことを大好きになる。私は、夫と娘の関係が、よく話せる良い関係なので本当に救われている。ママとパパのどっちが好きかという事はどうでもいいことである。

 誰だって人生は1回きりで、大人にとってもその人生の一日一日はとても貴重である。でも子どもにとっては、大人の何百倍か一日一日がとても貴重で、幸せな子ども時代を送ることがとても大事である。

 もしすべての子どもが幸せだと思える子ども時代を送ることができたら、この社会は変わると本気で思っている。自分の子どもも他の子どもにも、たくさんの愛を!と思っている。

 社会の物差しで子どもを測るのではなく、その子が自分の言葉を持ち、自分の頭で考え、自分で生きることができたらそれだけで充分幸せなことである。親が、どんなことがあってもあなたを支え、あなたを愛すると言うだけで、その子はどれだけ元気に生きていけるだろうか。

 子育ては大変だ。決まった時間にお迎えに行かなきゃいけないし、やることが多いし、やらなければならない家事もたくさんあるし、部屋は常に散らかっているし、感情的になることもある。たまっている仕事を、子どもが寝たらやらなくちゃいけないし、キリキリする。しかし、人生で大事なことは大好きな人と一緒に生きること、愛であるということを本当に子どもが教えてくれた。

 私は、とてもバタバタ生きてきて、当たり前だが模範的な母親ではもちろんない。何故か部屋はいつも散らかっている。しかし、子どもがくれたものは、無限大にある。すべての子どもが幸せな子ども時代を送ることができるように、力を尽くしたい。

 最後に次の回を担当される森ゆうこ参院議員へ。国会議員になる前に、3人の子育てをしながらお仕事もされていたと聞きました。どんなふうに乗り越えたんでしょうか。お話を聞いてみたいです。

福島瑞穂(ふくしま・みずほ)

 参議院比例区、4期、社会民主党党首。1955年12月宮崎県生まれ。1980年3月東京大学法学部卒業。1987年弁護士登録。第二東京弁護士会所属。1998年7月参院比例で初当選。2009年9月内閣府特命担当(少子化・消費者・男女共同参画・食品安全担当)大臣(鳩山由紀夫内閣)。2010年5月に辺野古への新基地移設の閣議決定の署名を拒否し、大臣を罷免される。環境、人権、女性、平和を4本柱に据えて活動中。

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