産後クライシスに苦しむ妻のSOSと願い 読者の声から生まれた記事が、誰かの行動を変えた〈東京すくすく2周年 副編集長から〉

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産後クライシスは「家庭内の問題」?

 今月、サイト開設2周年を迎えた東京すくすく。この1年を振り返る特集の㊦では、読者の皆さんとのやりとりから生まれた記事について紹介します。

 「24時間赤ちゃんに向き合う大変さを夫が分かってくれない」。昨年11月の記事「産後クライシス 調査でわかった妻の本音」は、読者からのコメントがきっかけでした。

 出産後に夫婦仲が悪化する産後クライシスは、妻の心身のつらさを夫が理解できず、適切に行動できないことが原因の一つとされます。防ぐための第一歩として、当事者である夫に出産直後の妻の状態を具体的に知らせることが大切なのでは。「家庭内の問題」とされ、表に出にくかった妻のSOSや願いを、社会に投げかけたい。そんな思いで、子育てアプリを開発する企業「カラダノート」と協力し、全国の母親1202人の声を集め、記事で紹介しました。

出産直後の妻のSOSを「見える化」

 産後、体がつらく「『子どもを見ておくし、家事もできるところまでやるから、気の済むまで寝て』と言ってほしい」。子どもが生まれても生活を変えない夫に「私はごはんもまともに食べられない。自分と同じように子どもファーストにしてほしい」。リアルな本音の数々に、「私の言いたいことを言ってくれた」「うちのことかと思った」との声が届きました。

 うれしかったのは「記事を読んだ夫の行動が、その日から変わった。心に響くところがあったみたい。これまで何を言ってもダメだったのに」という報告でした。読者の声から生まれた記事が、誰かを変えるきっかけとなったのです。

 記事が出た直後には、子育て中の女性4人を招き、座談会を開きました。専業主婦、会社員、フリーランスと、肩書きはさまざま。夫が海外赴任中で一人で子育てを担う方もいました。子育て環境の違う4人が、時に涙をこぼしながら、夫との山あり谷ありの体験を編集チームと語り合いました。その内容は、読者から募ったエピソードとともに「座談会 私たちの産後クライシス」として公開しました。

夫婦の転換期を乗り切るためには?

 今年2月には夫婦の転換期を乗り切るためのワークショップを企画しましたが、残念ながらコロナ禍で中止に。参加申込者からは「夫と何度も何度もけんかし、味方がいなくて孤独」「第2子妊娠中なので失敗を繰り返さないようしたい」と切実なメッセージをいただき、需要を強く感じています。

 育児のスタート期を支えるとともに、ぐらついた夫婦・親子関係を立て直すきっかけにもなるような記事や企画を、読者の皆さんと一緒に3年目も探っていきたいと考えています。

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