コロナ厳戒の2学期 オンライン授業、分散登校…自治体や学校で異なる対応、親も右往左往 編集チーム座談会
B:保育園年少女子、年長女子、小学3年女子(横浜市)
C:小学1年男子、6年男子(調布市)
D:小学1年男子、5年男子、中学1年女子(板橋区)
E:小学2年男子(世田谷区)
F:小学2年女子(世田谷区)
G:小学3年男子、5年女子(国分寺市)
H:小学5年男子、高校1年男子(文京区)
※それぞれの学校はいずれも公立
川崎市は登校するか、給食を食べるかを選択できる
―皆さんの子どもが通う学校の状況を教えてください。
A(川崎市) 夏休みが7日延長され、9月1日に学校が再開しました。10日まで午前授業で、オンラインで受けるか、登校して給食を食べるか、食べずに帰宅するかを選べます。小6の長女は登校して給食を食べる、を選択しました。
B(横浜市) 地域ごとに2班に分かれて分散登校です。13日まで1日ずつ交互に登校し、5時間授業を受けます。登校日でない日は、前日に持ち帰ったプリントやドリルを、模擬時間割に合わせて取り組んでいます。
C(調布市) 夏休みが9日延長され、9月6日が始業式。10日まで全校でオンライン授業になるため、自宅のネット環境を使って学校のオンライン授業のシステムに入れるかを試す「接続テスト」がありました。
板橋区と国分寺市は通常授業 世田谷区は分散登校
D(板橋区) 小中学生とも、9月1日から予定通りに2学期スタート、通常授業です。感染の不安から休む場合は出席停止の扱いで、授業の様子を配信するオンライン授業が受けられます。部活動の時間の上限は週7時間です。
E(世田谷区) 8月25日に区から分散登校のお知らせが来ました。始業式は予定通り9月1日で、1、2日はクラス全員で午前授業、3~10日はクラスを2つに分けて、1日ずつ交互に登校します。
F(世田谷区) 当初は、お知らせ文を読んで「登校しない日は自宅でオンライン授業」と捉えていたのですが、少し様子が違うみたいで。後ほど詳しく話します。
G(国分寺市) 予定通り8月25日から始まり、通常授業。分散登校やオンライン授業導入の動きは今のところありません。
H(文京区) 小5の次男は夏休みが9月5日まで延長され、2日に学校にタブレットを取りに行きました。今後の感染状況次第では、オンライン授業の可能性もあり、動作確認をしてほしいとのこと。都立高1年の長男は、予定通り8月23日から2学期が始まり、学園祭の準備期間、本番を経て、9月2日からオンライン授業を受けています。部活動は5日から再開予定です。
横浜市は分散 低学年の給食つき「緊急受け入れ」も
―学校の対応を、どう受け止めましたか。
F(世田谷区) 低学年が1人で自宅学習は無理。ツイッターでは休校ではなく、分散登校になったことへの不満の声があふれていました。学校からの手紙が専用アプリにさみだれで流れてきて、読みこなすのが大変でした。
E(世田谷区) うちの子の学校は、クラスを二分して分散登校ですが、班分けが始業式の9月1日に発表で、親の予定が立てられませんでした。あと、「きょうだいは同じ班分けにしてほしい」という声もあったそうです。
B(横浜市) うちは、地域で班分けをして分散登校なので、きょうだいで登校日が分かれることはないです。それと、低学年で学童を利用している子どもは給食付きで「緊急受け入れ」をしてくれるので、毎日登校させています。
F(世田谷区) 横浜市、うらやましいです! 岐阜市に住んでいる同僚の子どもが通う小学校は、分散登校ですが、低学年は全員登校可なんだそうです。賛否はあるのでしょうけど、子どもや親のことをよく分かっている人が自治体か教育委員会にいるんだなあという感じがしました。それぞれの家庭環境や意志を尊重してほしいです。
H(文京区) 夏休み中、子どもの昼食をほぼ毎日用意してきた夫は「やっと終わると思ったのに」と、休み延長にがっくりしています。
C(調布市) うちも同じ。10日までは確実に子どもたちが自宅学習なので、昼食の用意をしなくては。
E(世田谷区) オンライン授業は、子どもが持ち帰ったタブレットに、学級ごとにteamsで対面授業の様子が配信されます。学校で操作方法を教わってきましたが、小2の長男1人では、難しそう。午後から勤務の妻が付き添って、オンライン授業を受けた後は学校内の学童保育に行かせます。
教室前方のカメラで授業配信→感染不安でも安心
F(世田谷区) うちは、Eさんと同じ区なのに、やり方が違うんですよ! 1日午後に、学校からアプリで届いた通知を見てびっくりしました。「オンライン配信は体調不良または登校自粛の児童のための配信が主な目的」「登校日でない児童はオンライン配信を見なくても、登校日に同様の授業を行う」と。登校日でない日は、学校から課題をやるようですが、それが紙なのか、オンラインなのかも、現時点では分かりません。とにかく、スケジュールが小出しで、親の予定が立てられないです。
E(世田谷区) 全般的に分散登校・オンライン授業についての情報発信がわかりにくくて困りました。「2つに分けての分散登校」という方針だけ区教委が決めて、運用は学校次第、ということなんでしょうね。
F(世田谷区) ほかの学校と、進度に差が出るのでは、と心配です。
A(川崎市) 世田谷区、混乱してますね…。川崎市は、感染が不安な家庭はオンラインも選べるので、妥当な対応だと思います。ただ、オンラインを選択した場合は「欠席」にはならないけど、「出席停止」扱いに。中学受験を考えている子は評定に響くから、登校を選ぶのでは。小6の長女のクラスは35人中、9人がオンラインを選んだようです。「意外に多いな」と思いました。
D(板橋区) 板橋区も、登校しない児童生徒は、教室前方に設置したカメラで授業の動画が配信され、タブレットで見ることができます。教員のきめ細かい指導や支援には限界がありそうですが感染不安を抱える家庭は安心できると思います。
iPadの接続テストに失敗 先生たちも混乱しそう
―オンライン授業で困ったことはありますか?
C(調布市) 接続テストで、早速つまずきました。小1の次男が、授業が配信されるアプリ「Google Meet」にログインできませんでした。入室する部屋を間違えたと思っていたのですが、翌日、別の市立小に通う長男の学校から「市内で、児童用iPadにおいて、Google Meetに接続できないという事象が発生しております」との連絡が届いて、うちだけじゃないんだ、と。次男は、たった15分ぐらいの接続テストの間にも、端末に顔を極端に近づけたり、飽きて席を離れたり、とても1人で授業を受けられそうにありません。
B(横浜市) 親のフォローが必要な低学年の子が複数いて、一斉にオンライン授業を受けるような家庭は大変なことになりそうですよね。わが家はWi-Fi回線が弱く、Zoomを使った子どもの習い事も途中で切れてしまうことがあります。
D(板橋区) 昨年春の一斉休校中は、家族で回線の取り合いでした。重なるとブチブチ切れるので、親2人は会議や取材の時間をなるべくずらして、小学生2人が学校に指定された動画コンテンツにつなぐ時間も調整していました。3人全員がオンラインになったら、どうなることやら…。
H(文京区) 昨年春の休校期間中は、小学生はオンラインといっても、授業ではなく、区や業者が作成した動画を視聴する程度でしたよね。小学校の先生自身、オンライン授業の配信は初めてでしょうから、現場も混乱するでしょうね。
きょうだいが感染したり濃厚接触者になったら…
―不安に思っていることがあれば、教えてください。
B(横浜市) 下の子2人が通う園で感染者が出て、わが子が濃厚接触者になるか保健所などの判断を待つ間、上の子を登校させていいのか。実は、夏休み中に実際にそういうことがあって、ママ友から「濃厚接触者が特定できるまでは習い事を休んだ方がいいんじゃない?」と言われました。最初は「気にする人がいるなら控えようかな」くらいに思っていたのですが、「万が一濃厚接触者に該当した場合、学校に持ち込んでしまうリスクもあるな」と。今後、こういう事例が身近でも相次ぎそう。
H(文京区) そうですよね。少し話は違いますが先月、高1の長男の部活の先輩が感染したことで、学校から濃厚接触疑いと連絡があり、後に保健所にも認定されて。会社の規定で、長男の陰性確認ができるまで出社停止の扱いでした。PCR検査はすぐ受けられたのですが、結果が出るまで、長男を個室に隔離し、食事もそこで。手洗い後はペーパータオルを使わせるなどかなり気を遣いました。次があるのは困るけど、いい予行演習になりました。
G(国分寺市) 全校児童が1000人弱と比較的規模が大きいので、妻は「感染者が1人出たら、一気に拡大してしまいそう。今の学校の感染対策で大丈夫なのか。ほかの地域で2学期再開の延期や分散登校などをしているのを考えると、気になる」と話しています。学校では、マスク着用や手洗いなど、最低限の対策を呼びかけていて、うちの子どもたちはしっかり守っているようですが。
E(世田谷区) 学童保育のコロナ対応も、学校によってかなり温度差があるみたいです。隣の小学校の学童は「子ども同士が触れ合う遊びは禁止。将棋も駒を触るから禁止」なんですって。長男の学校はその辺が緩くて、子どもたちが密なので、感染が起きたら広がるだろうなと思います。
低学年は集中力に限界 家庭側で選べる対策が理想
D(板橋区) 今のところ、通常登校ですが、いつオンラインになるか分かりません。でも、1学期に小1の次男が「お母さんが家でオンラインで仕事をしているので、僕もできますか」と聞いたら、「先生、オンライン授業やったことがないからできないの」との答えだったとか。先生たちは、日々のコロナ対応に追われて、「1人1台タブレット」を使ってオンライン授業を試す余裕はなかったのかな、と感じています。私自身は、状況が許すなら、学校で生の授業を受けてほしい。特に低学年の子は、画面の中で展開する授業に長時間集中するのは難しいと思います。
H(文京区) 小5の次男は、6日から通常登校の予定です。高性能マスクを買いました。高1の長男は、9月半ばに2回目のワクチン接種を控えています。これだけ若い世代への感染が広がってくると、早くワクチンを済ませたいと焦ります。先生方が、ワクチン打てているのかな、というのも気がかりです。
E(世田谷区) 親がワクチン接種済みかどうかによる不安度の違いもあって、「学校に行かせたい派」と「行かせたくない派」の分断が起きてしまうのもつらいですよね。
F(世田谷区) 本当にそうです。板橋区や川崎市のように、家庭側が選択できる対策が理想ですね。私の一番のストレスは、学校からの通知に振り回されることかも…。
緊急事態宣言がいつまで続くのか、感染状況がどう推移するのかも見通せない中、学校の対応や予定の連絡も五月雨で、保護者としても戸惑うことが多い新学期となりました。子どもの学びや成長の機会を確保するために、学校と親、それぞれが今できる範囲でできることを探っていく必要がありそうです。