東京さくらトラムの運転席にこども記者が潜入!【都営交通×東京すくすく 夏休みわくわくこどもキャンペーン】

 東京新聞の子育てウェブメディア「東京すくすく」と都交通局による体験イベント「夏休みわくわくこどもキャンペーン」が8月2日、東京さくらトラム(都電荒川線)の荒川車庫(荒川区)で開かれました。小学生の男女10人が「こども記者」として、運転手の仕事を体験し、車庫の役割に迫りました。

初めての運転席へ「大変だ〜」

 「都電荒川線に乗ったことがある人は?」と尋ねると、全員が「はーい」と手を挙げてくれました。中には、マスコットキャラクター「とあらん」をあしらったオリジナルTシャツを着て来てくれた子も。取材への意気込みが伝わります。

 都電荒川線の電車は全部で33両あります。中でも、内装が木目調でレトロな雰囲気の9000形という車両は、2両しかないそう。この日は、貸し切り電車として人気が高い9001形が用意され、1人ずつ、運転席に座りました。

運転席の体験をするこども記者

 右手で重たいブレーキハンドルをぐぐっと押し、左手はマスコンハンドルへ。左足は「デッドマンペダル」と呼ばれる、運転手の身に何かあった時のためのブレーキを踏み続けなければならず、「思ったより、忙しいでしょう」と荒川電車営業所の二瓶明さん。小学5年の網代旭晃(あさひ)さんは、思わず「大変だ~」と声を上げました。

熱心に質問をするこども記者

その間も車内では、同じ営業所の岩倉正行さんに「運転手は何人いますか」「無人運転はありますか」と小学5年の桑田桃佳さんから熱心な質問が飛び交います。

間近でプロの技術を取材

トラバーサーで車両を移動する様子を取材するこども記者

 運転手体験を終えて、いったん下車。すると、さっきまで乗っていた車両が横向きに移動しています! 普段はお目にかかることのない「トラバーサー」と呼ばれる移動台車に載せて、線路の変更です。ぴたっと別の線路の前で止まると、小学4年の小野佑さんは、「きれいに止めるね!」と感心した様子。「この止め方は、トラバーサー係員の力量です」と紹介されました。

貸切電車で移動する途中、都電荒川線の歴史を学ぶ

 「チンチン」。いよいよ貸し切り電車が王子駅へ向かいます。二瓶さんは、都電荒川線は明治44(1911)年に「東京市電」として始まったことや、都民に親しんでもらおうと、2017年に「東京さくらトラム」という愛称が公募で付けられたことなど、都電荒川線の歴史を話してくれました。熱心にメモを取る小学4年の目黒由莉さんは、「今まで電車にあまり興味がなかったけれど、面白い」と満足そうです。

車内アナウンスを体験

 乗車中、車内放送の体験もできました。小学6年の伊賀千紘さんは緊張した面持ちで、「あー、あー」と発声練習。大きな声で「次は荒川車庫です」「ご乗車ありがとうございました~荒川車庫前に到着です」とアナウンスできました。

都電荒川線を取材して得たもの

思い出に残ったことを絵日記にまとめるこども記者

 すっかり運転手気分に浸った後は、1~3年生は絵日記に、4~6年生は壁新聞づくりの時間です。「まずは取材したたくさんのメモの中から、お友達に伝えたい!と思うところはどこか、探してみましょう」とアドバイスしました。親子で語り合いながら、黙々とこども記者NOTEBOOKにポイントを書き出していきます。「学校の勉強より難しい」と頭を抱える子もいましたが、「その視点、おもしろいね」と声を掛けるうちに、書きたいテーマが見えてきました。

記者と一緒に見出しを考える

 がんばって、見出しやリードを書き終えたこども記者をねぎらってくれたのは、マスコットキャラクター「とあらん」。サプライズで登場すると、こども記者や保護者からも歓声が上がりました。

 普段から、都電荒川線を利用するという小学2年の大倉千怜さんは、「運転手が88人もいることにびっくりした」と取材の成果を教えてくれました。電車が大好きな港区の小学3年の三田悠聖(ゆうせい)さんは、「車庫の中はふつう見られない。なかなかの絶景ポイントだった」と話してくれました。

とあらんと一緒に記念撮影する参加者(低学年)

とあらんと一緒に記念撮影する参加者(高学年)

 

取材のアドバイス役を終えて

 電車が大好きという子も、実はそんなに興味がなかったという子も、運転席に座るまなざしは真剣そのものでした。「低学年の子は取材できるかな」という心配をよそに、子どもたちから次々とわき出る質問。「知りたい!」という気持ちが前面に出ていました。絵日記や新聞の見出しづくりで、たくさんのメモの中から1つを選ぶことに、「ああでもない、こうでもない」とじっくり時間をかけていたこども記者たち。新人のころ「10聞いて1を書け」と教えられ、頭を抱えた自分と重なりました。