夏休みは親子で海釣りに挑戦 ポイントは潮の満ち引き 自然や環境を考えるきっかけにも

(2022年7月8日付 東京新聞朝刊)

図解 釣果の出やすいタイミング

 もうすぐ夏休み。親子で海釣りに挑戦しようと考えている家庭もあるだろう。道具や餌の準備だけでなく、潮の満ち引きの状態を意識することで釣果が出やすくなり、子どもたちが楽しみながら自然や命、環境への理解を深めるきっかけにも。釣り具販売のイシグロ(本社・浜松市)愛知エリアのフィッシングアドバイザー、山川翔さん(29)にポイントを聞いた。

水位が動くと魚が活発に 潮時表を見る

 海水面の高さは月の引力と地球の自転の関係によって刻々と変わり、最も水位が高い「満潮」、最も低い「干潮」が基本的には1日2回ずつある。これが釣りと何の関係があるのか。「潮の満ち引きのタイミングによって、同じ場所でもたくさん釣れたり、全く反応がなかったりするんです」と山川さんは言う。

写真

山川翔さん

 理由の1つは、水位の変動で海水が動くことで、波同士がぶつかるなどして、より多くの酸素が海水中に溶け込むこと。酸素が増えると魚の動きが活発になり、積極的に餌に食い付くようになる。また、海水中のプランクトンなどが流れ出すことで、それを食べる小魚や、小魚を食べるより大きな魚も活発化する。

 では、魚が最も釣れやすいタイミングをどう調べればよいのか。そのためには「潮時表」の見方を理解する必要がある。

 潮時表は、1年間の干潮と満潮、日の出と日の入りの時刻などを一覧にまとめたもので、釣具店などで手に入るほか、スマートフォンのアプリでも見ることができる。山川さんによると、一般的には満潮と干潮を挟んだ4時間程度は潮がよく動くチャンスタイムだ。ただ、もともと水深が浅い釣り場の場合、干潮時は水位が低過ぎて魚が寄ってこなくなるため、満潮前後を狙うといい。

月も関係「潮周期」 マズメ時がベスト

 さらに、気に留めておきたいのが、月の満ち欠けと連動する「潮周期」だ。太陽と月の位置関係によって、満潮と干潮の水位の差は日ごとに変わる。「小潮」「長潮」「若潮」「中潮」「大潮」の順に大きくなり、小潮は半月、大潮は満月と新月のタイミングと重なる。大潮の干満差は2m以上になることも。「台風の時、大潮の満潮が危ないと言われるのはこのためなんです」と山川さん。干満差が大きい日ほど潮がよく動き、魚が活発になるため、釣果が期待できる。

 一方、潮の満ち引きとは別に、日の出前後の「朝マズメ」、日の入り前後の「夕(ゆう)マズメ」と呼ばれる時間帯は、魚の警戒心が緩むなどの理由で、釣れやすくなるとされる。「潮の周期が良く、潮が動くタイミングとマズメ時が重なると、最も釣果が出やすくなります」。狙う魚や釣り方などによってベストな潮の状態が違うため、一概には言えないが、潮について親子で調べ、あれこれと作戦を練りながら出かけるのも楽しそうだ。

 自然と向き合う釣りは、子どもにとって学びの多い遊びだと、山川さんは考える。「潮の動きなどを考えていると、知らないうちに知識が身に付くし、海のごみの存在を知ることで環境への理解も深まる。釣った魚をリリースするのか食べるのか、命について考える機会にもなります」

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