発達検査、祖父母に反対されています〈宮里暁美の子育て相談〉

(2025年10月10日付 東京新聞朝刊)

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困るのは子どもだと思うのですが

 息子が3歳児健診に行った際、待ち時間に落ち着きがなく走り回っている様子から発達検査を勧められました。結果によっては療育に通うことになりそうです。しかし祖父母は「男の子はそんなもん。受けなくていい!」とつっぱねます。「検査を受けずに将来困るのは子どもだ」と思うのですが、世代的なギャップなのか納得してくれません。(30代母親)

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イラスト・永須華枝

最終決定は親 祖父母は1歩下がって

 子どものことや孫のことになると、期待も大きくなるのと同じように心配も大きくなります。大事に思う気持ちが出発点ですが、心配の仕方にずれがあると悩ましいですね。

 「発達検査」のイメージも人によって違いがあります。世代間ギャップもありそうですね。お子さんの状況をより詳しく把握するための一つの方法に過ぎず検査結果が全てというわけでもない。

 「検査を受けないと将来困ることになる」というほどのことでもないように思います。「受ける」「受けない」ではなく「受けてみるね」くらいの軽い気持ちでアプローチしてみたらいいと思います。

 現代は多様性の時代です。

 一人一人の在り方の違いを優劣としてではなく、特性として認め大事に受け止めることで、どの子もその子らしく伸びていきます。例えば、周りの刺激が強いとそれに気を取られ落ち着かなくなるお子さんの場合、静かで落ち着ける場所を用意することで集中して取り組めるようになります。「落ち着かない困った子」と捉えるのではなく「周囲の状況に敏感な子」と捉える視点です。

 お子さんの今の状況を理解することは、いつでもとても大切です。専門機関に相談したりアドバイスを得たりすることで、安心して子育てができるはずです。

 祖父母の方の心配が強いようでしたら、一緒に相談に行ってもいいのかもしれません。実際に相談する場面に立ち会うと「今はいい時代だね」と安心するかもしれません。

 でもできれば、祖父母は前面には出ずに、お父さんやお母さんの決断を「それでいいよ」と認め、見守るようでありたいと思います。子育ては迷いの連続ですから、人生の先輩として助言を求められることもありますが、最終決定は親が下すべきです。

 祖父母は一歩下がって親を見守る、これが基本です。5人の孫がいるおばあちゃんとして、自分自身の心に刻んでいることです。

(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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