幼い子どもに戦争をどう伝えるか 恐ろしさを植え付けるだけでなく、向き合うために大人ができること

阿部さん(左)の説明で原爆ドームのジオラマを見学する園児たち=名古屋市名東区のピースあいちで
園児らが「焼き場に立つ少年」を見つめ
名古屋市名東区にある戦争と平和の資料館「ピースあいち」。17日、保育園の年長児約30人が見学に訪れていた。社会福祉法人てとろ(同市東区)が運営するうちの3園の園児たちだ。
館内に展示された「焼き場に立つ少年」の写真を前に、案内役を務めた同法人理事長の阿部真由子さん(46)が語りかけた。「怖いと思うかもしれないけど、これが戦争です」。亡くなった子を背負って火葬を待つ少年の姿を、園児たちはじっと見つめる。この日は防空ずきんをかぶる体験や、原爆ドームのジオラマの見学などもあった。
5年ほど前からピースあいちへの訪問を続けている同法人。阿部さんは「大人になるための基礎をつくる時期に『命の大切さ』をきちんと伝えたい」とその意図を話す。「今ある日常を幸せだと思える感度が高くなれば、大人になっても前向きに生きていけるようになる」と力を込める。
こうした理念を実現するために、同館での見学も「その日限りのイベント」にはしていない。園児たちには年少の段階から、絵本や紙芝居を通して「日常の幸せ」を考えさせているほか、給食で戦時中の食事を体験してもらうことも。そうした積み重ねにより「漠然とした恐怖ではなく、理解して話を聞けるようになる」と阿部さんは話す。
見学後は親子で話し合うなどフォローを
平和教育に詳しい立命館大大学院の村本邦子教授(臨床心理学)も「日常の文脈の中で戦争に触れさせること」の重要性を説く。
村本教授は「戦争の恐ろしさを植え付けるだけでは、子どもは目をそらしてしまい逆効果になってしまう」と指摘。平和教育を始める年代は「性格や感受性、成育環境の個人差が大きいので一概には言えない」としながらも、「命を大切に思う感性や人の痛みへの想像力を日頃から育みながら、戦争について考えさせることが重要だ」と話す。
戦争を学ばせるきっかけにするツールは「残虐なシーンをリアルに表現したものよりも、絵本などソフトに表されたもののほうが良いだろう」。資料館などに連れていく場合は、目的をきちんと伝えた上で「嫌だと思ったら無理に見なくていいよ」などと逃げ場もつくり、見学後は感想を親子で話し合うなどのフォローも必要だとしている。

児童書専門店の「おおきな木」
まずは戦争や平和をとりあげた絵本から
児童書専門店の「おおきな木」(岐阜市伊奈波通)では、戦争や平和について扱う絵本のコーナーを設けている。反戦歌を題材にしたものなども含めて約50冊が並ぶ。店主の杉山三四郎さん(72)は「戦争を伝える作家さんたちの思いを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
杉山さんおすすめの一冊は、谷川俊太郎さんの「へいわとせんそう」。日常と戦時を対比させながら、敵も味方も「同じ人間」であることをシンプルに表現した作品だ。「絵本を読んであげられること自体が幸せなこと。そんな喜びを感じることが、他人を思いやる気持ちにつながるのでは」
なるほど!
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この時期だけじゃなく戦争について、折に触れ、どうぞいろんな角度から優しくて力強さも感じる、こんな記事をよろしくお願い致します🙇♀️