共働き世帯の家計術 パートナーの貯蓄額を知らなくて大丈夫? ライフプラン会議で危機管理のすすめ

内藤眞弓さん
共働きは丼勘定になりがち?
名古屋市熱田区の男性会社員(37)は昨年2月、介護福祉士の妻(34)と結婚した。家賃や水道光熱費といった固定費は男性が、買い物や掃除を担うことの多い妻が食費や日用品費を支払っている。旅行などの出費は折半という。
互いの収入は「だいたいこれくらいかなという程度」で把握し、貯金額は知らない。「毎月問題なく生活ができ、独身時代とそれほど変わらずお金が使えているので不満はない」と言い切る。ただ、「お金のことは正直うやむや。貯金はほとんどないが、妻には言いたくない」と打ち明ける。
内藤さんによると、共働き夫婦は収入が二つあり、「家計が丼勘定になりがち」。生活費として何にいくら使っているか分かりにくく、お金の話をしたくても、配偶者が不機嫌になりそうで切り出しにくい人も。
お金の流れが把握できるように
そこで、内藤さんは家族のライフプランを確認することを提案する。年に1度、仕事の展望を話し合う場を設け、収入の見通しや転職、産育休の予定などを確認。収入が変わった時にどう支え合えるのかも考えられる。「家計管理は目先のやりくりや節約ではなく、危機管理でもある」
生活費の使い道を知るツールが家計簿で、月ごとの支出を家賃や食費、水道光熱費、交通費などに分類することが多い。この方法だと、食費に食材の購入費や勤務中の昼食代、旅行先での外食代などが混ざり、出費の目的が分かりにくい。
内藤さんは支出を「機能、行動、人」といった項目で分けることを勧める。例えば、「暮らす」という項目に、水道光熱費や食材の購入費、日用品費を入れる。旅好きな人は「旅行」の項目に旅先への交通費や外食代、宿泊費を振り分ける。「食費や交通費などのくくりでは見えてこないお金の流れが分かる」。急に大きなお金が必要になった場合、どこを削れば捻出できるかも分かる。

ローンの引き落としは共有口座で
何にどのぐらい使うか分かったら、1カ月に使える生活費の予算額を設定する。教育費や車の購入費など、貯蓄する分も入れ、夫婦の分担額を決める。「互いの収入や家事、育児の負担割合に応じるとよい」
家計の管理には、夫婦で共有の口座を作るといい。家賃や住宅ローンといった共通で必要なお金を引き落とす口座に、給料日など、分担額を振り込む日を決める。日用品を買う際は、クレジットカードの家族カードを利用するなどして、この口座から引き落とす。
分担額を振り込んだ残りは各自のお金。「夫婦のどちらかが自由に使える分が多すぎることへの不満があれば、分担額を調整して。生活費の予算額や貯蓄額の目標を毎年見直しながら各家庭にあったやり方を探して」と助言する。

今月から提供を始めた「マネーフォワードME」のシェアボード=マネーフォワード提供
家計簿アプリでお金の「見える化」
スマートフォンで簡単に使える家計簿アプリも、忙しい共働き夫婦の助けになる。互いに情報を共有できる機能も登場している。
「くふうカンパニー」(東京)が提供する「Zaim(ザイム)」では、レシートを撮影して読み取れるほか、銀行やクレジットカード会社と連携して、収支を自動で記録できる。
昨年、夫婦向けに「ペア家計簿」機能を加えた。一緒に管理したい銀行口座やカードの情報だけを登録。月ごとの収支が2人の合計額で示され、日付ごとの明細も分かる。担当者は「2人のお金を『見える化』することで、話し合うきっかけにしてほしい」と話す。
マネーフォワード(同)も今月、「マネーフォワードME」で新機能「シェアボード」の提供を開始。夫婦で共有したい銀行口座などのサービスを選んでおけば、アプリ上で夫婦と個人の家計管理を両立できる。
投資状況なども確認でき、住宅購入への資金計画なども立てられる。担当者は「お金の管理に時間をかけず、2人で同じ家計簿をチェックできる」と薦める。
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