制服や校則、行事だって生徒の声を反映! 公立中で自治活動を展開する生徒会 「新しいことに挑戦する力がついた」

榎本哲也 (2025年10月29日付 東京新聞朝刊)
 制服や校則、行事などを、生徒たちの意見を踏まえて決める取り組みが、公立中学で増えている。小金井市立小金井第一中(門脇利種校長)は、その先進校の一つ。今秋、任期を終えた生徒会役員たちに、自分たちのどんな意見が学校生活を彩ったのかを聞いた。
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本年度から変わった標準服。身だしなみのルールも生徒が話し合い、学校に意見を提出している=いずれも小金井市で(平野皓士朗撮影)

本年度から制服の自由度アップ

 男女7人の前期役員。服装が少しずつ違う。女子は白ベスト、紺ベストなど。男子もワイシャツ、もう1人がポロシャツ。

 同校の標準服は昨年度まで男子詰め襟、女子ジャンパースカートの一択だった。本年度から夏・冬服の別がない、男女共通のブレザーか、従来の標準服かを選べ、自前のベストも華美でないなどの条件付きで着用可に。自由度が高まった。

 「決まりを守った上で、かわいく着こなせる。体温調節もしやすい」と2年生の堀杏莉さん(14)。

 多様性を尊重した標準服は公立中で増えているが、伝統校は昔ながらの詰め襟などが根強い。1947年設立の同校もそうだった。

 流れを変えたのは2018年度の生徒会だ。猛暑続きの中、健康面を考慮し、体育着登校を認めて-との要望書を提出。学校も動き出し、真夏の体育着登校可、ポロシャツ着用可-と段階的に緩和。地域の意見も聞くなど検討を重ね、本年度の新標準服に至った。

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小金井第一中の前期生徒会メンバー。ここ、学校の中庭が舞台の「中庭プロジェクト」でいろいろな企画を実現した=いずれも小金井市で(写真はいずれも、平野皓士朗撮影)

みんなで話し合い、達成感

 学校生活に生徒が積極的に意見を出す雰囲気は、同校に定着している。

 今年春の運動会。雨天順延で、時間も短縮となり、3年生の「部活動対抗リレー」が取りやめになった。

 「3年生最後の運動会なのに残念、という声が多く、どうにかできないかな」。そう思った3年生の西山明希さん(15)らは「中庭でやろう」と発案。同校は月1回の昼休み、中庭を活用して生徒会企画の行事を行う「中庭プロジェクト」があり、そこで実現しようというわけだ。安全面を考慮してルールを変え、後日、リレーが実現した。

 「恒例行事と違って初めてだから、ずいぶん話し合った。みんな喜んで、達成感があった」と、2年生の長野芽衣さん(14)。

 生徒有志による学校プール清掃も初めて実施した。「プールの更衣室は砂ぼこりで汚れやすい。有志を募ったら、多すぎるくらい集まってくれた」と2年生の柴田莉帆さん(13)。

 朝、生徒会役員らが行う「あいさつ運動」では、一緒に参加してくれる生徒に贈るステッカーを作った。多い日は1日60人も集まり、昇降口前に立ってくれた。「学年の垣根を越えてあいさつできる良い雰囲気になった」と3年生の伊藤海咲さん(14)。

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あいさつ運動用に作ったステッカー。大好評だった

意見を出すことが習慣に

 いじめ反対の意思を表明するピンクシャツデーなど、生徒会発の企画を数多く実現した1年間。3年生の村上悠月さん(15)は「ゼロから始める活動も多くて、新しいことに挑戦する力がついたと思う」。生徒会長を務めた3年生の堤遊馬さん(15)は「提案をまとめるには、いろんな人の意見を集めて、広げたり狭めたりすることが必要と感じた。最初は大変だけど、だんだん意見を出すのが習慣になってきた」。

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いじめ反対を呼びかける「ピンクシャツデー」で着たTシャツなどを手にする生徒たち

 教師の適切な指導の下で、自発的・自治的活動を展開する生徒会活動は、学習指導要領で定められている。同校の取り組みも、これに沿ったものだ。

 星野哲朗副校長(48)は「生徒が真剣に考えた意見を積極的に出せる。教員は耳を傾け、どう指導するか考える。それが大切。本校は生徒と教師がのびのびかかわっている。地域も生徒への信頼、期待が大きい」。次期生徒会役員選挙では、校則のあり方を演説で訴える生徒もいた。伝統は、後輩に受け継がれる。

元記事:東京新聞デジタル 2025年10月29日

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