俳優 三浦宏規さん 熊川哲也さんを見てバレエダンサーに憧れ 踊り続ける僕を両親はサポートし続けてくれた

ウィルビー・インターナショナル提供

各界で活躍する著名人が家族との思い出深いエピーソードを語るコーナーです
母は表現者、父は裏方タイプ
会社員の父、ピアノ講師の母、そして僕。3人家族で育ちました。5歳からクラシックバレエを習っていると話すと、芸能一家だと思われることがありますが、割と普通の家庭です。でも母の影響は大きいと思います。食事中もクラシック音楽がかかっていたので。バレエを始めたきっかけは、テレビで熊川哲也さんの番組を見て憧れたことでした。
バレエがとにかく大好きで、「バレエやめさせるよ」と言われれば言うことを聞く子どもでした。当時の風景で思い出すのは、夜ご飯の後、リビングの椅子やソファを端に寄せて、ずーっと踊っている自分。両親はゆっくりしたいだろうに、部屋の隅で音楽をかける係や、動画を撮る係をやってくれて。僕中心に回っていたと思いますが、応援してくれました。
母は芸術肌でピンクやフリフリしたものが好きな人ですが、性格はすごくさばさばしています。小学6年生でひざのけがをしてバレエの道を諦め、14歳で俳優を目指して単身上京した時も、「行ってきなさい」という感じ。父の方が寂しそうでしたね。
父はいろんなことを知っていてこまやかな人です。舞台で例えると、母と僕は表現者だけど、父は裏方タイプ。一度だけひどく怒られたことがあります。小学生の時にお祭りに行って、お金が足りなくて友達に借りたんです。父に「あした返すからお金がほしい」って言ったら、「人から金借りるな」って叱られた。すごく覚えています。
大舞台をつかんで親孝行できた
バレエ教室には、最初は父と見学に行きました。男の子なんて珍しいから、父は「冷やかしで来たのかなという目で見られた」と。先生も「冷やかしだと思った」と後から言っていました。でも、どうやら本気らしいと分かってからは、貴重な男性ダンサーなので目の色を変えて教えてくれました。
バレエ教室でただ一人の男の子だったことも、三浦家の一人息子であることも含め、自分は期待を背負うことに慣れている方だとは思います。ありがたいことに今は主演をやらせていただく機会も多いんですけど、苦じゃないし、プレッシャーもないんです。周りの人から、「この作品を頼む」と思ってもらえることがすごく心地いい。僕はステージに立つべき人間だ、と思えるのは、小さい頃からの環境が影響しているんだろうなと思います。
来年2月には、世界的バレエスターのジュリアン・マッケイ氏の公演にゲスト出演します。俳優として歩む中で、バレエの大舞台もつかむことができた。そういう意味では、親孝行は十分できたかなって。だから後はもう、黙って見ていてくれ、もっと面白い世界に連れて行ってあげるから。どの舞台も必ず見に来てくれる両親に対して、今はそんな気持ちでいます。
三浦宏規(みうら・ひろき)
1999年、三重県桑名市出身。5歳からクラシックバレエを始める。ミュージカル「のだめカンタービレ」「赤と黒」、舞台「千と千尋の神隠し」の演技で第49回菊田一夫演劇賞を受賞。公演中の「デスノート THE MUSICAL」では謎の名探偵L(エル)役を務める。2026年2月7日、「Julian MacKay & Friends Ballet Gala ~The Art of Dance~」公演に特別出演。
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