【衆院選で考えたい】少子化で保育園存続の危機 地方の託児はどうする? 山あいで休園を食い止めた市立園を訪ねた

山あいの園庭で体操する園児と保育士たち。少人数のため異年齢保育を行っている=愛知県岡崎市の宮崎保育園で
園児8人に保育士ら4人
1月下旬、周囲の山々を見渡す園庭で年長児2人は一輪車、2歳児と年少児は砂場で遊び始めた。愛知県岡崎市の中心部から約20キロ離れた市立宮崎保育園では、子どもたちが走り回る。
0歳~年長の8人に園長と保育士ら4人がつく。「異年齢保育」を実施し、この日も年長児が0歳児に絵本を読み聞かせていた。「遊びの幅が広がり、言葉も増えた」と長女の時ちゃん(3)を通わせるNPO法人職員の秋吉はなさん(34)。保育士や他の保護者らと気軽に話せる環境も気に入っている。だが、3月末には4人が卒園するため「園児6人未満かつ、年少~年長児が4人未満で休園」という市の規定で休園の危機を迎えた。
秋吉さんと夫の直樹さん(37)は「宮崎保育園を通じて地域の人とつながれる」と転園は考えなかった。長男怜央ちゃん(3)が通う自営業の唐沢萌(もゆ)さん(41)も賛同。転園で送迎時間が増えるのも不安だった。
座談会で入園児を募集
秋吉さんと唐沢さんは住民を交えて座談会を企画、回覧板にチラシを入れるなどで入園児を募集。新年度は少なくとも4人入園予定で、継続が決まった。規定について市の担当者は、幼児が集団の中で成長する必要性を鑑み「ギリギリの線引きでは」と話す。宮崎保育園では手厚い保育が可能だが、別の園には待機児童がいて「市全体で、保育士の配置などを効率的に考えなければ」と悩ましげだ。
座談会の参加者からは「保育園がなくなると小学校(の存続)も危うい」との声もあり、直樹さんは残す意義を感じた。「里山での子育てが選べるよう、園を残す特例などがあれば」と願う。

保育施設の維持は国の役割
「保育施設を統廃合すると地域で子育てができなくなり、若者が来なくなる悪循環に」。都市計画と保育政策に詳しい奈良女子大名誉教授の中山徹さんは指摘する。公立園の維持は、予算の使途が限定されない一般財源から賄うため、自治体の財政力などで差が出る。「過疎自治体での保育機能維持には経費がかかるため、国が制度や補助を整える必要がある」
衆院選では、共産党が公立園への補助を復活させる公約を掲げるが、多くの党は児童手当の拡充など金銭面の支援が中心。中山さんは「保育環境を自治体任せにしない議論が欠かせない」と強調する。

待機児童減り、園の多機能化へ
国は待機児童解消を掲げ保育園整備などを促進。2017年のピーク時に2万6000人だった待機児童は8年連続で減り、25年4月時点で2254人に。定員がどの程度埋まっているかを示す「定員充足率」も減少傾向だ。過疎地域は74.6%、全国平均は88.4%と開きがある。
こども家庭庁は25年度から保育園の統廃合や多機能化を視野に入れる。人口減少地域でも質の高い保育を安定的に提供できるよう、統廃合や多機能化につなげる狙いだ。多機能化では過疎化する9市町村でモデル事業を支援。保育施設で卒園児童の預かりや高齢者向け講座などを行っている。
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