卸売市場の女性競り人が絵本を出版「魚が好きな子どもを増やしたい」 3月7日は「さかなの日」

藤原啓嗣 (2026年3月5日付 東京新聞朝刊)
 魚が好きな子どもを増やそうと、名古屋市熱田区の市中央卸売市場本場で働く競り人の石川菜々子さん(27)が、絵本「おとのさま、おさかなっておいしいの?」(三恵社)を描いた。国内で魚食離れが進む現状が心配な石川さんは「親子で読んで、魚市場のにぎわいを感じて」と話す。3月7日の「さかなの日」に発売する。

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芸大出身、競りの活気にひかれて

 絵本は、魚が苦手な男の子、みなと君が江戸時代の市場にタイムスリップする設定だ。魚好きの殿様に誘われ、みなと君は魚の調理に挑戦。自分で作ったフナのみそ煮込みなどを味わい、魚を好きになる。

 物語の舞台は、同市場の前身「熱田魚市場」。戦国武将の織田信長の居城だった清洲城(愛知県清須市)にもここから魚を運んだとされる。石川さんは当時食べられていた魚を資料で探し、魚の呼び名から種類を特定できない場合は職場の先輩に相談して、描いた。

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声を張り上げて、サバの競りを進める石川菜々子さん=名古屋市熱田区の市中央卸売市場本場で(2025年1月撮影)

 魚の彩りは発色が鮮やかな油性画材のオイルパステルで表現。つまようじや綿棒で細かな線を描くことで、魚のうろこや焼き目のリアルさを演出。石川さんは「鮮魚は一匹一匹、色も形も違う。生き生きした姿を表現した」と語る。

 石川さんは愛知県立芸術大(同県長久手市)でデザインを学んだが、競りの活気にひかれて名古屋市中央卸売市場本場に拠点を置く卸売会社の中部水産に2023年に入社。同社唯一の女性競り人としてサバの競りを担当する傍ら、小売店の販売促進のために鮮魚の絵を描くこともある。

 絵本の出版は、同社が2025年に魚食への関心を高めるため始めたプロジェクトの一環。絵本は33ページ、1815円。通販サイトのアマゾンなどで販売。市内の小学校や保育園などへ計1329冊を無料で配った。

減る魚介類の消費量 ピーク時のほぼ半分

 日本人の魚介類の消費量は減り続けている。農林水産省の食料需給表によると、2024年度の日本人1人が1年に消費する魚介類は21.3キロで、2001年度のピーク時のほぼ半分に。魚介類の消費量は2011年度に肉類に逆転された。

 魚離れの主な要因として、調理が大変そうなイメージや食べる際に骨を取り除く手間などが考えられる。食べた後のごみの異臭を気にして、ごみの回収日の前日にしか食べない家庭もあるという。

 水産庁は2018年、全国で魚に関する仕事を担う女性に、魚食も含めた漁業・水産業の魅力を発信してもらう取り組みを開始。水産業に携わる女性が少なく、存在感を高めるのも狙い。今年1月時点で、石川さんを含め、漁業者や料理人ら145人が登録している。

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