「物言う株主」村上さん、中高生向け投資塾に3000人 元手で最大10万円提供 リスクと社会を知ろう
「株価が上下した理由、新聞を読んだりして考えて」
「なぜ株価が上下したのか。新聞を読んだりして自分なりに考える癖をつけて」。3月28日、東京都渋谷区内で開かれた講演会で村上さんが語りかけた。出席者は、今年1月からの投資体験に参加する中高生とその保護者ら約120人。株式投資の疑問にも答えつつ、社会の動きを知る大切さを説明した。
村上さんは2006年、ニッポン放送株を巡るインサイダー事件で逮捕され、11年に有罪が確定。4500億円近い運用資産があったファンドは解散。その後、妻の影響を受け社会貢献を始めた。17年から子ども向け講演を始め、今年からは投資体験も取り入れた。日本の教育現場でも金融教育は拡充されつつあるが、村上さんは「実際の投資体験はお金のことを考える貴重な機会になる」と言う。
損しても返済不要 もうかった分は「おこづかい」
投資体験をしてみたい中高生は、ネット証券「GMOクリック証券」で本人名義の証券口座を開設する。その後、村上さんが設立した村上財団の審査を通ると、元手資金の3万円が振り込まれる。実際に株式を売買し、定期的に結果と感想を報告すれば、最大10万円まで受け取れる。
仮に、投資損で元手を全て失っても資金の返済の必要はない。逆に、利益が出て元手より増えた分は中高生がもらえる。体験者は1年後、元手で残っている金額だけを寄付の形で財団に返す仕組みだ。
すでに3000人以上が応募し、約200人が投資を始めた。当面、1万人を目標に参加者を募る。村上さんは「減った分はこちらで面倒を見るので、子どもたちには思い切りトライしてほしい」と話す。
投資体験の詳細は、子どもの投資教育・実体験プロジェクトで。
金融教育拡充の流れだが…「投資の知識は大学生以降」の見解も
日本の教育現場でも、金融教育は拡充の流れにある。2020年度以降の学習指導要領でも家計管理や金融の仕組みなどを学ぶことが盛り込まれている。長引く低金利により預貯金の利息は期待薄で資産形成ニーズが高まり、お金の知識の重要性が増していることも背景にある。
文部科学省が昨年3月に公表した次期学習指導要領では、中学の家庭科で「計画的な金銭管理の必要性」の指導が明記されたほか、社会科では「経済活動や起業などを支える金融などの働き」について教えることなどが盛り込まれた。
日本に比べて、欧米では貯蓄より投資が主流で、家庭で株式の知識に触れる機会も多い。英国の中学校で金融の仕組みなどを学ぶ「経済」が必修科目となっているほか、米国でも複数の州で金融教育が義務化されている。
だが、日本では子どもの時から投資教育をすることに、教育界では慎重な見方もある。これを受け、金融庁や文科省、金融関係団体などでつくる金融経済教育推進会議が15年に作成した「金融リテラシー・マップ」では、投資のリスクなどの知識を身に付けるのは大学生以降と位置付けられた。株式投資は、大きなリターンを期待できる半面、資産を失うリスクがあるだけに慎重な判断が伴う。
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