川崎殺傷事件から1カ月 まだ深い子どもたちの心の傷 容疑者死亡で進まない動機解明 - 東京すくすく | 子どもとの日々を支える ― 東京新聞

川崎殺傷事件から1カ月 まだ深い子どもたちの心の傷 容疑者死亡で進まない動機解明

土屋晴康、安田栄治 (2019年6月28日付 東京新聞朝刊)
 川崎市多摩区の私立カリタス小の児童ら20人が殺傷された事件は、28日で発生から1カ月を迎える。自殺した岩崎隆一容疑者(51)=川崎市麻生区=の動機の解明は難航している。
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現場で手を合わせる人々は絶えない=6月27日朝、川崎市多摩区で

なぜカリタス小を? 360人に話を聞いたが

 岩崎容疑者は5月28日午前7時ごろ、自宅を出て、真っすぐ児童らが並ぶバス停に向かい、到着後すぐ犯行に及んでいた。駅や現場付近の防犯カメラには事件の4日前に、岩崎容疑者とみられる男が写っていたが、新たに6日前の同22日にも男の姿が写っていたことがわかった。

 岩崎容疑者は高齢の伯父夫婦と3人暮らし。捜査関係者によると、地元の小中学校卒業後は、アイス製造工場や雀荘(じゃんそう)でアルバイトをしていた時期もあったが、いずれも10年以上前。最近は定職に就いていなかったとみられる。

 自室に引きこもり気味だったという同容疑者に、伯母が1月、2度にわたって自立を促す手紙を渡した。岩崎容疑者はこの手紙をびりびりに破り、「自立してるじゃないか」と激高したという。神奈川県警では親族や学校関係者ら360人に話を聞いたが、肝心の動機やカリタス小を狙った理由は見えてこないという。

「心理的な傷、埋めるにはしばらくかかる」

 多摩区の事件現場は27日朝も、花などが供えられ、手を合わせる人が絶えない。近所に住む40代の女性は「『忘れないからね』と伝えた」と涙を浮かべた。

 同小を運営するカリタス学園法人本部の事務局長は27日、報道陣の取材に応じた。事務局長によると、児童全員を対象にした個別面談でカウンセラーに「夜、夢をみる」「後ろから人が来るような気がする」と訴える児童がいる。また、事件で負傷し現在も入院中の児童もいるという。

 「(児童らは)落ち着いてきているが、心理的にはまだ傷があって、埋めるにはしばらくかかるのではないか」と述べた。事件後、スクールバスではなく市バスをチャーターし、ルートも変更。最寄り駅から徒歩通学する児童に教員らを付き添わせ、自家用車による送迎も認めている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年6月28日

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