「3カ月で300万円が…」子どものオンラインゲーム課金 “知らないうちに高額請求”に注意 予防策は?発覚したら?
祖母のスマホを勝手に登録 休眠状態のカードで
「クレジットカードの支払いで、銀行口座から3カ月で300万円が引き落とされていた」
愛知県の40代女性は昨年6月、同居する高齢の母から相談を受けた。明細にはスマホのアプリストアやゲーム会社の名前がずらり。利用した覚えはないという。調べると、女性の息子(16)が母のカード情報を自分のスマホに勝手に登録し、有料のオンラインゲームで遊んでいた。カード情報を盗み見たとみられ、決済時の年齢確認でも成人と偽っていた。
保護者の同意がない未成年の契約は、民法に基づき取り消すことができる。女性は弁護士を通じてカード会社とアプリストアの運営会社に事情を説明し、「未成年の契約で無効」と返金を求めた。母がほぼ利用していなかった“休眠状態”のカードだったこともあり、大半が応じたが、一社は保護者の落ち度を主張して応じず、約30万円は戻ってこなかった。
端末に保存された決済情報 そのまま遊ばせると
オンラインゲームはインターネットで複数の人が遊べる。月額で利用料を払うタイプや、最初は無料だが、有利に戦えるアイテムや通貨などを有料で購入するタイプも。最近はスマホで手軽に遊べるものが多い。
国民生活センターによると、2019年度に全国の窓口に寄せられた子どものオンラインゲームに関する相談は2537件。ここ4年で倍増している(下のグラフ参照)。カード情報や、保護者が設定した携帯電話のキャリア決済の暗証番号を子どもが無断で使うケースが多く、金額は数10万円から100万円を超えるものもある。
最近のスマホやゲーム機などの端末には、一度登録したカード情報などの決済情報を保存する機能がある。保護者がそれを理解せず、子どものスマホなどに決済情報を残したまま、遊ばせてしまう事例も。担当者は「端末の機能を理解し、どんな情報が登録されているのか管理を欠かさないようにして」と呼び掛ける。
未成年者の課金額に制限 でも年齢は自己申告
運営側も対策を講じている。人気オンラインゲーム「パズル&ドラゴンズ」を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメント(東京)は業界団体のガイドラインに基づき、2013年から未成年者の1カ月の課金額を制限。保護者の同意確認も毎回画面に表示されるように。ただ、年齢確認はあくまで自己申告。実際とは異なる申告をしている事例もある。
同社の担当者は予防策として、各家庭で子どもがゲームをする場所や時間など、利用の約束ごとを決めておくことを勧める。また、子どもが利用するスマホの機能に保護者が制限を設ける「ペアレンタルコントロール」を設定し、無断で決済できないようにするのも効果的だという。
発覚したら、すぐ運営者に連絡することが大切
トラブルが起きたらどうすればいいのか。消費者問題に詳しい愛知県弁護士会所属の弁護士柴田将人さん(42)によると、すぐに運営者に連絡することが大切。その際、端末はそのままの状態で残しておくと、決済の日時や金額が分かり、返金交渉しやすくなる。
ただ、「保護者の同意のない未成年者の契約」として無効を主張しても、子どもが年齢確認などで積極的にうそをついていたと認められる場合などは取り消せないことがある。立証に時間がかかるケースも多い。
柴田さんは「未成年者は過ちを犯しやすいので、取り消しの制度がある。あきらめずに主張して」と話す。
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