4日間の妻なし生活 死ぬかとおもった〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉 - 東京すくすく | 子どもとの日々を支える ― 東京新聞

4日間の妻なし生活 死ぬかとおもった〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉

(2023年1月6日付 東京新聞朝刊)

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カット・お父ちゃんやってます!加瀬健太郎

 クリスマスの夜、次男は「今年こそサンタクロースを見てやる」と頭まですっぽりこたつに潜り込み、隙間から玄関をにらんでいたが、不覚にもこたつがあったかく、頬っぺたを真っ赤にして寝てしまった。

 助かった。もう少しでこっちが寝落ちするところだった。

 そんな去年の年末。妻がお尻にあった粉瘤(ふんりゅう)というできものを取るため入院することになった。

 「4日間の妻なし生活」来るなら来てみろ。その時はまだ「自分ならやれる」と信じていた。

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 朝ご飯を作り、長男と次男を小学校に送り出し、三男のお弁当を作り、幼稚園のお見送り。食器を洗い、洗濯機を回し、四男と公園に行き、帰り道ベビーカーで遠回りして寝かせ帰宅。寝てる間に長男の塾用に弁当を作り、やっと一息つこうかと思うと「ママがいーい」と四男が泣き出した。

 時計を見ると、もう幼稚園のお迎えの時間。続いて長男、次男の下校時間。忘れていた朝の洗濯物を乾燥機に入れ、気がつけば晩ご飯。またまた洗い物をして風呂に入れ、「あと何回寝たらママ帰ってくるの?」という子の歯を磨き、絵本を読み、寝かせ。「ママがいーい」と夜泣きする四男をなだめ寝かせるともう朝。

 死ぬかとおもった。いや半分死んでいた。

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 掃除、洗濯物を畳む、他いろいろ諦めてやっと4日間が終わった。途中、義母が助っ人で来てくれたにもかかわらず、退院の日に、僕は疲れからか風邪をひいた。

 「育児ノイローゼとか少し分かった気がする」と妻に言うと、「ちょっとやったぐらいで、分かった気にならんといて」と言われた。

 「ギャフン」ってこういう時に使うんだ、と思った。

加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真 加瀬健太郎さん

 写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。12歳、10歳、5歳、2歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。

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