ジェンダーレスなスクール水着「体の線が出ない」と好評 公立中学300校以上で採用
男女共用 胴回りやお尻はゆったりと
男女共用のスクール水着を開発したのは、水泳や介護用品を手がける「フットマーク」(東京都墨田区)。長袖の上着と膝上までのパンツの組み合わせで、フットマーク学校教育事業部の木村元気(もとき)さん(45)は「体のラインが出にくい形状。男女が同じ物を着るためにいろいろと工夫している」と話す。
例えば、胴回りやお尻など性差が出やすい部分は、ゆったりした形に。胸部分には、140以上のサイズでポケットを設け、別売りのパッドが入れられるようにした。上着の裾がめくれないように工夫したほか、前面のファスナーは持ち手を起こさなければ開閉できないロック式にし、持ち手のガードも首元に設けた。
パンツと一体型のインナーは、水着の外側と同じ生地で「一般的な薄い生地よりも安心感がある」という。一方、水中での動きやすさにも配慮し、腰の部分には水が抜けるよう左右に穴を設けて、足から水中に飛び込んでもパンツが膨らみにくいようになっている。
開発のきっかけ「心と体の性の違い」
開発のきっかけは5年ほど前に「中学に入る子どもが心と体の性が違い困っている」という声が寄せられたこと。当時は「重ね着で対応しては」と返答したが、以降も同じ相談が相次いだ。学校の制服でジェンダーレスへの対応が進んでいることも後押しした。
昨年テスト販売し、本年度は全国の公立中学を中心に300校以上で採用された。価格は6700~7150円。フットマークのサイトでは個人向けにも販売。他のメーカーからも同様の商品が発売されているという。
東京都立神代(じんだい)高校は、文部科学省が授業の男女共修を推進していることも踏まえ、フットマークの男女共用水着を本年度初めて導入したところ、1年生の半数以上が購入したという。副校長の室岡誠一さん(61)は「女子は体の線を隠したい、男子は腹筋のないおなかを見られたくない、といった理由で購入するようです。従来の体の線が出る水着が、それだけ嫌だったということでしょう」と話した。
スクール水着は、2000年代には男女とも太ももが隠れるタイプが増え、女子では上下が分かれたツーピース型が主流になるなど変遷してきた。この5年ほどは、日よけのため上半身に着るラッシュガードを認める学校も増えた。木村さんは「多様な需要がある中で、男女共用水着が受け入れられる状況があったのでは」と推し量る。
動きやすさの面ではジャストサイズを
ただ、水泳の授業で使うものだけに、動きやすさは何よりも大切だ。学校の水泳教育に詳しい鳴門教育大教授の松井敦典さん(63)は「男と女では体形が違い、同じ水着を着るにはだぼだぼと余裕があるものを作らざるを得ない。体の線を隠すことを優先して、水中運動に適さない水着になる可能性もある」と指摘する。
神代高で水泳を教える教員からは、男女共用水着について「泳ぐという点では、これまでの水着と変わらない」との声が上がっているという。木村さんは注意点として「中学1年生が3年間着られるようにと大きなサイズを買うと、水着としての機能が失われてしまう。必ず体に合うサイズを着てほしい」と話す。
松井さん自身はラッシュガードの活用を勧める。日差しを避けることができ、脱いで泳ぐこともできるからという。男女共用水着に対しては「子どもたちが着て快適ならいいのでは」と理解しつつ「授業の内容に対して適切か、指導者のチェックは必要」と語った。
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何でもかんでも皆一緒にするのもう辞めた方が良いです。多様性尊重と言いつつ単一化しています。元水泳部員さんが述べられているように、着たい人が着れば良いと思います。
記事の意図は理解できる。ただ、松井教授の指摘にもあるように、運動着という観点からは従来のものと比べて機能性は劣るような気がする(着用の経験はないので分からないが)。統一するのではなく、着たい人が着ればよい。