夏休み明け、学校に行きたくない子どもたちへ「1人で悩まず、心のS0Sを伝えて」 関係省庁が相談窓口 自動のチャットボットも

(2023年8月24日付 東京新聞朝刊)

表 主な悩み相談窓口

 夏休み明け前後に気持ちが不安定になる子どもが増えることから、関係省庁が連携し、相談窓口の周知に力を入れている。「学校に行きたくない」「苦手なクラスメートと会いたくない」「宿題が終わっていない」-など精神的な負担は多岐にわたる。そんな時は、「1人で悩まず伝えて」が合言葉だ。

 厚生労働省とこども家庭庁、文部科学省、内閣官房孤独・孤立対策担当室は、例年より早い8月1日に啓発活動を開始した。厚労省は若者のイラストに「知らせてほしい、心のSOS。」と書いたポスターや動画を作成、ポスターは公共機関や駅舎などに掲出するよう関係機関に依頼。相談窓口情報をまとめたウェブサイト「まもろうよ こころ」の利用も促している。

 文科省は8月15日、永岡桂子文科相名で小学生、中高生、学生、保護者・学校関係者それぞれに向けたメッセージを出した。「人に相談することは決して恥ずかしいことではなく、生きていく上でとても大切なことです」などとし、1人で抱え込まないよう伝える。また、都道府県や政令市の教育委員会に見守りの強化などの対応を通知。こども家庭庁も自治体向けに対応や連携を依頼した。

 内閣官房の担当室は、孤独・孤立対策ウェブサイトで、18歳以下を対象に悩みに応じて相談窓口を自動で案内する「チャットボット」を設け、活用を呼びかけている。

 昨年の児童生徒の自殺者数は過去最多の514人だった。長期休み明けに命を絶つケースが多い傾向がある。

周囲の大人はどうしたらいい?

 「学校に行きたくない」という子どもや、周囲の大人はどうしたらいいか。子どものメンタルケアに詳しい杏林大の加藤雅江教授(精神保健)に聞いた。

杏林大の加藤雅江教授(本人提供)

親の不安解消のために問い詰めないで

 子どもたちには「つらい時ほど声は出せない」「嫌な場所から逃げてもいいよ」と伝えたい。大人も仕事に行きたくない日はある。

 親はつい「なんで?」「どうして?」と理由を聞いてしまうが、子ども自身も分からない場合が少なくない。親の不安解消のために問い詰めると、子どもが安心して気持ちを言い出せる居場所を奪ってしまうことにもなる。「そうなんだね」と受け止め、ねぎらうくらいの気持ちで接したい。

苦しい気持ちの背景を探る姿勢が大切

 そして、何が子どもを不安にさせているのか、「しんどい」気持ちの背景を一緒に探る姿勢が大切。さまざまなことの積み重ねが自死につながる。普段から子どもが大事にされている感覚を持てるように、嫌なことやマイナスの感情も吐き出せる「空気感」をつくっておきたい。先のイメージを抱けるよう「2学期にはどんなことをするんだっけ?」と、学校行事だけでなく家族や地域の催し予定を確認するのも1つの方法。

 また、親など大人側にも余裕が必要だ。忙しかったり不安を抱えていたりすると、子どもに伝わる。相談窓口を利用するなど心身の状況を整えて対応したい。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年8月22日

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