親の接し方で、いじめをしない子に育てられますか?〈宮里暁美の子育て相談〉 - 東京すくすく | 子どもとの日々を支える ― 東京新聞

親の接し方で、いじめをしない子に育てられますか?〈宮里暁美の子育て相談〉

(2024年11月8日付 東京新聞朝刊)

親の私がいじめられっ子だった

 近く女の子を出産予定です。いじめられっ子だった自分の経験から、「いじめをする子には育てたくない」と強く思います。ただ、過去にいじめをしてきた人を思い返すと、そのご両親は穏やかで優しく、家庭には問題がなさそうにも見えました。親の接し方で「いじめをしない子」に育てることはできるのでしょうか。(30代母親)

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イラスト・永須華枝

「優しい心持ちの子に」と願いながら育てて

 間もなく出産ですね、おめでとうございます。ご出産の無事をお祈りします。大切な命が宿り、お母さんのお腹(なか)の中で成長し、誕生の時を迎える。それは大きな奇跡なのです。どうぞ出産後は大切な命を抱きしめて、愛して、大事に接してください。そこからあなたとお子さんの物語は始まります。

 物語は日々紡がれ、まさに未知数です。それだけに楽しみもあれば不安もよぎります。特に出産を間近に控えている今は、不安が膨らむかもしれません。でも大丈夫。あなたのように優しい心持ちの人に育てられた子は、いじめをする子にはなりませんから。

 日々成長する、それが子どもです。子どもに向ける眼差(まなざ)しには「◯◯しない子に」より、「◯◯する子に」という願いを込めたいと思います。「しない子に」という言葉には予防や禁止というイメージがあります。一方、「◯◯する子に」には子どもの気持ちや行いを尊重する気持ちが感じられます。「いじめをしない子に」ではなくて「優しい心持ちの子に」「人の痛みを自分のことのように感じる子に」と願ってみましょう

 「優しい心持ちの子」は、そばにいる大人が優しい心持ちで接することで育ちます。おいしいものを食べたり、地域を散歩して小さな命や自然と出合い、感じる体験を重ねる中で育ちます。「人の痛みを自分のことのように感じる」姿は、ごく小さい頃から見られます。泣いている子がいるとヨシヨシと頭をなでたり、その子が気に入っている人形を持ってきたり、困っている人がいると何かをしようとする子どもたちの姿は、そばにいる大人の関わりによって育まれていきます。

 あなたが育てるのは、多様性の時代を生きていく子どもです。違いを良さと捉え、自分と同じように周りの人も大切にする、そんな子どもたちを育てていきましょう。

 (文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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