夫婦だけで子育ては無理⁉ ヨッピーさんと考える、つらくならないための育児ハック 「ダメな親」だと自分を責める前に
「親がご機嫌でいること」が最高の育児
ーヨッピーさんは、まだお子さんが0歳と3歳の時に「子育ては楽しいことしかない」とおっしゃっていて衝撃を受けました。そのゆとりはどこから来ているのでしょうか。
男性は優位性があって、体がでかいし、ベビーカーを押してて舌打ちされることなんかに出会いづらいです。子どもの特性もありますよね。うちの子は夜泣きもありませんでした。「楽しいことしかない」は言い過ぎで、もちろん大変な時はありますが、圧倒的に楽しさが勝っています 。僕が一番大事にしているのは「親がご機嫌でいること」です 。親がギスギスしているのが子どもにとって一番良くないというのは、データでもはっきり言われていますから。
ーでも、現実には家事や仕事に追われて、余裕を失うことも多いです。
だから、家事は徹底的に手を抜くし、外注もします 。散らかった部屋は夜寝る前に一回片付ければいい 。人生100年のうち、育児が本当に過酷なのは最初の数年だと思います。まあ、小学校に上がったら別の課題も出てくるでしょうが。その期間くらいは、お金を度外視してでも家事代行や宅食サービスをバンバン使って解決すればいい。自分たちのキャパを超えてまで頑張る必要はないんです。
ーヨッピーさんは、家庭内で独自のルールを設けているそうですね。
はい。うちは「自分の不満を解決するのは君の仕事だからね」というルールを徹底しています。お互いの幸福と健康について、お互いが責任を持つ。わが家の憲法みたいなもので、これは決めて本当によかったです。
ーそれは面白いですね。つい「自分の不満は自分で何とかしなきゃ」と思いがちですが。
逆なんです。夫婦どちらかに不満があった時に、「それは知らんがな」と言えない。「じゃあ、どうしたら解決するか、一緒に考えよう」という関係性なので、うまくいっていますね。

子育て日記を連載中のヨッピーさん
「手を上げてしまう」背景にある3つの要因
ー東京すくすくで、子どもに手を上げてしまう母親を取り上げた記事には、今でも読者から「子どもを叩いてしまった」「怒鳴るのがやめられない」という切実な声が届いています。特に母親が多いです。300件のコメントを抽出して分析すると、共通する背景が見えてきました。

- 親のコンディション(睡眠不足・疲労)
- 子どもの行動(泣きやまない・危険行動)
- 生活環境(朝の支度など急いでいる時間)、社会環境(ワンオペなどの孤立)
ーこれらが重なってしまった時に、子どもに手を上げてしまう行動につながっていました。
この中で、子どもの行動はコントロール不能です 。だから変えるべきは「親のコンディション」と「環境」なんです 。ここを夫婦で取り組んでほしいです。
ー「自分はダメな親だから」と責めるのではなく、改善できるところを探したいですね。

自称ずぼらなヨッピーさんは、家事最適化で育児ストレスをなくそうと呼びかける
頼りにしたい「新・三種の神(人)器」
ーヨッピーさんは、著書「子育てがラクになるノウハウを集めた育児ハック」で、家電などの「三種の神器(洗濯乾燥機、食洗機、見守りカメラ)」を推奨されていますが、同じように「人」にも頼っていけたらいいですよね。
それは間違いないですね。夫婦2人でも大変ですからね。
ーそこで、考えてみました。新・三種の人器!
- 家族・親類:パートナーはもちろん、祖父母にも「孫と遊べてうれしいでしょ」くらいの気持ちで積極的に預ける 。
- 友人・コミュニティー:相談できる友人や、ヨッピーさんが運営する※「ぴよぴぴ」のようなオンラインコミュニティーで情報を共有する 。
- 行政・地域支援:ファミリーサポート、シッター、地域のボランティアを、限界を感じる「前」から利用できるように準備しておく 。
※「ぴよぴぴ」は、LINEのオープンチャット。約1500人が登録し、夜泣きの対応やトイレトレーニングのアイデアなど、さまざまな困り事に現役ママパパが経験談を共有する。
ー行政でいうと、私はかつて「緊急サポートセンター埼玉」を利用し、地域の人に頼っていた時期がありました。
おお、いいですね。
ー子どもが1歳過ぎで、ご飯を作る時に足元にくっついてきて危ないので、夕方の時間帯に地域の人に来てもらうんです。子どもと遊んでもらっている間に食事を用意できて、食事介助をしてもらいながらおしゃべりして。地域の人しか分からない学校事情などを教えてもらい、私自身のリフレッシュにもなりました。
僕の友人で、初めての育児だから、妻に「家事代行とかシッターとか呼んでいいからね」と言ったら、「あなたは親のくせに自分で育児しようとしないなんて!」と怒られたんですって。「全部自分でやらなきゃ」と抱え込んでいたんですが、そういう気の張った育児をしていたら、2人目が生まれてから生活が回らなくなっちゃって、勇気を出していろんな人に頼るようになりました。そうしたら「なんでもっと早く頼まなかったんだろう」って肩の力が抜けたそうです。
責任を背負いすぎるのも無責任だと思うので、いい具合に肩の力を抜いて、頼れる人や物は何でも頼って、ちょっと厚かましいくらいでちょうどいいと思います。それくらい子どもを育てるって大変なんで、どんどん頼っていこうと言いたいですね。

男性が「育児の主体」になるために
ーとはいえ、まだ男性の方が長時間労働で「育児は手伝うもの」という意識が残っている家庭も多いです。
僕は、やっぱり大事なのは「新生児期の1カ月」を男が全部まるっと面倒を見ることが、その後の生活に効くと思っています 。男が主体で面倒を見ると、やっぱりかわいくてしょうがなくなってくるんですよ。女性のように、おなかの中でずっと一緒にいたわけじゃないから、急にポンッと出てきた生き物なので、こっちもおっかなびっくりなんですけど。面倒を見るうちに、「ちょっと笑った!」「かわいいな~」という気持ちがどんどん芽生えてきます。
その気持ちさえ芽生えれば、あとは勝手に子どもに会いたいから早く帰ろうとか、子どもと遊びたいから土日は子どもを連れて家を出ようとか、思考回路が切り替わっていくんじゃないかと思っています。せめて最初の1カ月は育休を取れる社会にするってことですかね。
ー「家庭を守るためには稼いでこないといけない」と考え、仕事を優先するお父さんには、どう声をかければいいでしょうか。
理屈で攻めましょう。何百人もの人をみとった人が「人生何を後悔しましたか」とインタビューした本があるんですけど、死ぬ間際に「もっと働けばよかった」と後悔する人はいませんでした。それより「もっと家族と過ごせばよかった」「自分の時間をつくればよかった」と後悔する人ばかりなんだそうです。
子育て日記にも書きましたが、子どもと思いっきり遊べる夏休みは、人生でたった10回しか来ないという言葉が僕の中でめっちゃ刺さってまして。10歳過ぎると親と遊んでくれなくなるんで、人生100年のうち、たった10年ですよ。その貴重な時間を、仕事だけに費やして本当にいいんですか、と 。
でも絶望するのは、まだ早いと思います。本当に過渡期ではあって、男性育休はものすごく追い風は吹いていると思うので、これから子どもを育てる人たちは劇的によくなっていくんじゃないかなという気はしています。
なるほど!
グッときた
もやもや...
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