子どもが急に発熱、仕事は休めない…そんな共働き世帯の救世主 病児保育を自宅に届ける「緊急サポートセンター埼玉」

浅野有紀 ( 2022年11月28日付 東京新聞朝刊)
写真

サポーターが子どもと遊ぶ様子

 子が急に発熱したが、仕事は休めない。近くに頼れる親もいない。そんな共働き世帯の救世主のような「緊急サポートセンター埼玉」(川口市)を埼玉県内自治体の委託を受けて運営する。代表の賀川祐二さん(56)=千葉県船橋市=も2児の父親。「働く親がまともに働きやすくなるように」と38歳で退職して立ち上げた。

緊急電話を受け「サポーター」を手配 

 「明日にも来てほしい」と利用者からの緊急電話を受け、近くのサポーターを手配し、利用者宅などで病児の一時預かりをする。埼玉県内25市12町で展開。サポーターは資格を問わず、研修を受けた主に子育て経験のある50代以上のパート女性が活躍する。オムツ替えなどの世話をしたり、折り紙で遊んだり。利用者にとっては、困った時に近所の世話好きおばちゃんが駆けつけてくれる感覚だ。

 病児保育を巡っては、公設で病院や保育所併設型の「病児保育室」もあるが、定員が2~3人と少なく、希望する日に預けられないことが少なくない。設置基準が厳しく、赤字運営のところもあるとして、賀川さんは「医師が良心でやっているようなもの。少子化で次々と増やすのは難しい。預けられないところを僕らが埋めていく」と緊急サポートの意義を語る。

「妻が休めばいい」偉そうにしていたが

 賀川さんはリクルートホールディングス(東京都千代田区)で求人雑誌のマーケティングや販売に携わった。読者との交流で、働きながら子育てする母親の苦労を耳にする一方、企業側が子育て世代の採用を渋る現状を思い知った。

写真

「困っている家庭にサービスを届けたい」と話す賀川さん=川口市で

 自身も1999年に長男が産まれ、子育てが始まった。息子は病気がちだが病児保育室が近くになく、妻が仕事を休む日々が続いた。「当時は(妻が休む方がいいと)偉そうな態度だった」と苦笑いする。

2万世帯が登録 このノウハウを全国に

 同社は当時、フレックス定年制度があり早期退職が主流だったという。自身も退職を考えており、「妻も困ったし、風邪の子を預かる事業を」と迷わず辞めた。NPO法人の立ち上げを学ぶ塾で出会った仲間と2005年秋、NPO法人「病児保育を作る会」を立ち上げた。

 現在、約2万世帯が利用登録する。コロナ禍で母親同士の口コミが減っているとして、「サポートがあること自体を知らない人もいるはず」。少子高齢化の今、緊急サポートの仕組みは高齢者の地域での活躍の場にもなり、彼ら自身をケアする事業にも応用できる。「これからますます必要とされる。自分たちで立ち上げたノウハウを全国に広げたい」

賀川祐二(かがわ・ゆうじ)

 1966年生まれ、札幌市出身。NPO法人「病児保育を作る会」代表。埼玉と都内、群馬の一部で緊急サポートなどの事業を受託する。料金は自治体ごとに1時間300~1000円(税込み)。サポーターは約1500人。全国に広げる活動への寄付を募っている。問い合わせは病児保育を作る会=電話047(401)0804で受けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年11月28日

3

なるほど!

0

グッときた

1

もやもや...

1

もっと
知りたい

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

/1000文字まで

編集チームがチェックの上で公開します。内容によっては非公開としたり、一部を削除したり、明らかな誤字等を修正させていただくことがあります。
投稿内容は、東京すくすくや東京新聞など、中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ