筆記体、英国では別物? 私立武蔵高校中学の英語教諭・手島良さんに聞く 現地の子どもたちが習っているのは…

(2026年4月28日付 東京新聞朝刊)
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英語の文字指導について説明する私立武蔵高校中学の英語教諭、手島良さん=東京都練馬区で

 1月30日に公開した記事「英語で筆記体、今の子どもたちは習わない? いつから? 理由は?」で、日本の学校教育ではパソコンの普及などで筆記体が必修から外れた一方、英国では「6~8歳で学ぶ」と紹介した。これに、私立武蔵高校中学(東京都練馬区)の英語教諭、手島良(てしま・まこと)さん(64)から「英国で教えているのは、日本でかつて中学1年生に教えていた筆記体とは別物」という指摘が。長年、英語の文字指導をし、英国で研究もした手島さんに詳しく聞いた。

読み書きしやすさを追求し進化

 「もともと手書き文字といえば筆記体のことで、秘書や事務方が使っていた」と手島さん。英国で1880年に義務教育が始まった当初は、子どもたちが初めに習う手書きの字として学校で指導していた。しかし、習得や読み取りが難しいことから、20世紀に入って間もなく「学校教育から排除された」。代わりに教えたのが、シンプルなブロック体。ところが、見かけに反して書きにくく、しばらく後には、一筆書きできるようにするなど書きやすくした文字の指導に移行したという。

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英国の子どもたちが習う字形のサンプル(手島良さん作成)

 そのように読み書きしやすさを追究してきた中で、現代の英国で教える「筆記体(手書きの字体)」は生まれたようだ。手島さんによると、子どもたちはまず基本の字形=写真(1)=を学ぶ。次に、前後の字に接続するためのひげをのばした字=写真(2)=を覚え、その字同士をつなげて単語を書くこと=写真(3)=を習得する。つなげて書くのは、その方が書きやすく、単語の切れ目が分かりやすいため。

筆記体は「草書を教えるようなもの」

 手島さんは、日本でかつての筆記体教育がノスタルジー(懐古)で語られることを警戒する。「初めて英語を学ぶ中学生に筆記体を学習させるのは、日本語でいえば初学者にいきなり草書を教えるようなもの。非常に負担が大きく、英語学習につまずく要因になる」。速く書けるような印象も「一種の迷信。急いで雑に書くと自分でも読めない。普段使い用ではなく芸術用の文字と考えるのが妥当です」。

書影:手島良さんの著書「これからの英語の文字指導 ―書きやすく 読みやすく」(研究社)

手島良さんの著書「これからの英語の文字指導 ―書きやすく 読みやすく」(研究社)

手島良(てしま・まこと)さん

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 1961年、愛知県岡崎市生まれ。私立武蔵高校中学の英語教諭。東京外国語大学外国語学部英米語学科卒。英国レディング大学大学院言語学科修士課程(応用言語学専攻)修了。2002~2004年度NHKラジオ「新基礎英語3」講師を務める。著書に「英語の発音・ルールブック」(NHK出版)、「これからの英語の文字指導 ー書きやすく 読みやすく」(研究社)など。

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