小泉環境相、育休取れる? 閣僚に規定も前例もなし
内閣法では「事故のあるとき」に臨時代理可
「公務最優先、危機管理は万全、妻の不安払拭(ふっしょく)。三つをしっかり両立させる形は一番何がいいのか、考えていきたい」。小泉氏は内閣改造があった11日、育休取得にあらためて前向きな姿勢を記者団に示した。
内閣法は閣僚に「事故のあるとき」に「臨時代理」を置くことが定められている。「育休」については明確な規定がなく、前例もない。小泉氏が実行する場合、公務を一定期間休んで「育休取得」と宣言することが想定される。
ただ、閣僚は内閣が意思決定する閣議に出席しなければならない。閣議決定には、閣僚の署名が必要になる。また憲法63条は、国会の求めがある場合、閣僚の国会出席義務を定めている。小泉氏の言う通り、日々の公務をこなした上で緊急事態が起こった時にも対応し、さらに国会の出席義務も果たすとなると、一定期間継続して休みを取るのは、現実的には難しい。
「閣僚も取らないと、世の中に浸透しない」
閣僚だけでなく、国会議員にも育休の規定はない。衆参両院ともに、本会議を休む場合はどんな理由でも「欠席届」を出すことが定められているのみ。衆院事務局によると、妻の出産や育児など私的な理由の場合は、一議員として欠席届が必要になるという。
閣僚の「育休」を巡り、菅義偉(すがよしひで)官房長官は「(自治体の)首長が育児のため休暇を取った例はある」と理解を示す。自民党閣僚経験者も「閣僚も取るんだということを見せないと、世の中に浸透しない」と話す。
2001年に10日ほど国会で「産休」を取った立憲民主党の山花郁夫衆院議員は「正しいことをやっているんだからいいでしょ、という世の中には、まだなっていない」と指摘する。
「妻も育児も大事」ライフスタイル発信を
国民民主党の泉健太政調会長は「まずは国民が先。今の制度だと(育休取得で)給料が減ってしまう。一方で国会議員は給料が満額得られる」と批判する。
現行の育児休業制度は、育休中の給付金が休業前賃金の67%(6カ月経過後は50%)にとどまるため、取得をためらう人もいる。男性の取得率は、18年度調査で約6%にすぎない。
第一生命経済研究所の的場康子主席研究員は「国会議員と企業の社員では、環境も事情も大きく異なるため賛否もある。仕事だけでなく、妻や育児も同様に大切にするというライフスタイルを発信し続けることには意義がある」と話す。
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