歌手 バブリーたまみさん 「自分はダメな母親だ」と産後うつ…転機は「踊ってみた」動画投稿
夫にイライラ、ママ友のSNSに落ち込み
「ママ界のエンターテイナー」として活動しています。小学2年の時、母が突然失踪し、父から「もう帰ってこない」と告げられました。姉は泣きわめきましたが、私はショックを受ける父をこれ以上悲しませてはいけないと思って、同居してくれることになった祖母に「ばあちゃんが来てくれて良かった」と言うなど、平気なふりをしていました。母との思い出にふたをして、最初からいなかったと思うようにしました。でも、「捨てられた」との思いはずっと消えませんでした。
愛情をたくさん注いでくれた父は5年前、私が長男を妊娠中に、がんで亡くなりました。出産直後から長男の泣き声を聞くと涙が止まらず、産後うつと診断されました。自分の行動次第では赤ちゃんが死んでしまうかもしれない。「立派に育てなきゃ」と思う半面、「自分も、母と同じようなことをしてしまうのでは」と恐怖を感じました。
「あなたは一人でランチができていいね」。夫にイライラをぶつけ、幸せそうに子育てをするママ友のSNSの投稿を見て「自分はダメな母親だ」と落ち込みました。そんな私に夫は「俺と息子にとって、最高のお母さんだから、それでいい」と言ってくれました。
我慢して、自分を犠牲に…からの”爆発”
転機は、長男が1歳4カ月の時。友達の結婚式でバブル期の派手な髪形やメークで踊った様子をYouTubeに投稿したら人気が出ました。
子育て広場で肩パッド入りスーツ姿で絵本の読み聞かせをしたり歌ったりしたら、他のママたちが大笑いしてくれて。「母親はやりたいことを我慢して、自分を犠牲にして子育てをするべきだ」。私もそんな良い母親像に縛られていましたが、封印してきた気持ちが爆発しました。
コロナ禍の中で作った曲「ママ、いっしょに幸せになろうね」のYouTube動画には、次男の出産シーンを入れました。
次男の妊娠中は緊急事態宣言中。家に閉じこもり行き詰まっていた私に、当時3歳の長男が「ママ大丈夫だよ」と声を掛けてくれました。私を救ってくれたその言葉は曲の歌詞になりました。
「大好きだよ」5歳の長男の優しさに涙
5歳になった長男は「ママ大好きだよ」「ママかわいいね」と私を抱き締めてくれます。先日、私が自分のケーキを買わなかったら、長男が「わけわけしてあげる」とケーキを分けてくれました。感激して涙が出たら、頭をなでてくれて、また泣きました。
気持ちが沈んでいる時は、夫に「ちょっと、ギューして」と抱き締めてもらいます。すると「大事にされている」と実感できます。私らしく生きていくために支えてくれる夫と息子たちは、私の一番の味方。私も家族の一番の味方でいたいです。
バブリーたまみ
本名・箕輪珠実。1988年、福岡県出身。2017年からYouTubeへの動画投稿を始め、親子向けのファミリーコンサートを全国で開催。2019年にキングレコードから「ママの笑顔がいちばん!~スーパーポジティブソングス!!~」でCDデビュー。インスタグラムのフォロワー数は約7万人。