世界に類のない「ベルマーク運動」の仕組み 個人で手軽にできるボランティア

イラスト ベルマークのイメージ

 1960年に立ち上げられたベルマーク運動。点数を集めることで参加団体の物品の購入ができることは知られていますが、もともとはへき地学校の支援のため始まった世界に類のない仕組みです。現在は物品購入額の1割がへき地学校、特別支援学校、災害被災校、海外等への支援に充てられていますが、少子化やPTA活動の見直しで点数をどう集めるかなどの課題もあります。(1月11日付の東京新聞サンデー版「大図解」を再編集しています)

へき地学校の支援で始まる

ベルマーク運動は、へき地学校の教員が都市部との教育格差解消のための寄付を要望したことから始まりました。寄付だと1回きりで終わってしまうため、より継続的な仕組みとして考えられました。都市部の学校との教育格差を埋めるほか、高度成長期前の時代のニーズもあり、全国的に広がりました。

◆ベルマークの歴史
1957年 へき地学校の教員がへき地学校の教育環境の充実のための支援を要請
1960年 教育設備の整備・充実を目的とする「財団法人教育設備助成会」が設立
1961年 全国のPTAに参加を呼びかけ。2,263校でベルマーク運動が始まる
東京都文京区の茗台(めいだい)中学校が全国初のお買いもの
1963年 へき地学校への援助事業が始まる
1972年 沖縄の本土復帰を記念し沖縄の小中学校に教育設備品を贈る全国運動
1984年 災害被災校の支援が始まる
1985年 特別支援学校への支援が始まる
1990年 海外援助が始まる
1991年 海外の日本人学校への援助が始まる
1997年 名称を「財団法人教育設備助成会」から「ベルマーク教育助成財団」に改称。病院内学級に初の援助
2006年 大学や公民館、生涯学習センターなどに参加資格を拡大
2013年 ウェブベルマーク運動がスタート
2025年 ベルマーク点数の自動集計に向け研究中

ベルマークの累計点数は、開始以降、急激に増加を続けましたが、近年は鈍化しています。

グラフ ベルマークの累計点数 開始以降、急激に増加を続けたが、近年は鈍化

円グラフ ベルマークの参加校数 小学校の約7割、中学校の約6割が参加

(※参加校数は2025年2月現在、全国の学校数は2025年版全国学校総覧から。中等教育学校は高校にカウント。参加率は小数点以下第1位を四捨五入しています)

参加PTA数は、2007年度のピーク時の2万8453校から少子化による学校の統廃合などで徐々に減少。2006年からは大学(短大・高等専門学校を含む)と公民館や生涯学習センターの学習団体、講座、学級も参加可能になりました。

ベルマークの流れ 1点1円で参加団体の預金に

そもそも、ベルマークの流れはこうです。協賛会社がベルマーク付き商品を販売、消費者がベルマークを切り取って参加校や団体に持ち寄ると、分類、集計してベルマーク財団へ送ります。

点数は1点=1円で参加団体の預金になり、たまった預金で協力会社から備品などを購入できます。

購入金額の1割が参加団体からの寄付金として財団に戻り、へき地学校や災害被災校、特別支援学校などへの支援に充てられ、2024年度の総支援額は4168万円相当でした。

図解 ベルマークの流れ

寄付金は国の「へき地教育振興法」に定められたへき地学校のほか、災害被災校や特別支援学校、病院内学級、海外への支援に使われています。

写真

へき地へのソフト支援の一つ「一輪車講習会」の様子=2024年6月、広島県安芸高田市で

東日本大震災の被災校には2025年度、岩手、宮城、福島県の計103校に計600万円相当の支援が行われ、これまでの支援総額は5億円相当になりました。

写真

東日本大震災の被災校にノートや鉛筆が送られた=2011年

能登半島地震の被災校には2024年度分として28校に580万円の支援が行われています。

誰でもできる「寄贈マーク」

1965年に「捨ててしまうマークを役立てられないか」との投書をきっかけに「寄贈マーク」が開始されました。

グラフ 寄贈マーク到着件数

個人や職場で集めて財団に送ると、へき地学校や特別支援学校、災害被災校などへの支援に使われます。コロナ禍の「巣ごもり」をきっかけに誰もが手軽にできるボランティア活動として広がっています。

ネットショッピングで「ウェブベルマーク」

ネットショッピングで参加できる「ウェブベルマーク」は、東日本大震災の被災校支援のため2013年9月に開始されました。

グラフ ウェブベルマークの登録参加者数

ウェブベルマークのサイトに登録し、同サイトを経由して大手通販サイトや旅行、家電など協賛企業237店舗(2025年11月18日現在)のサイトで買い物をすると、通常付与される個人へのポイントとは別に自己負担なしでベルマーク点数が加算されます。

被災校のほか、自分の子どもの学校を指定することもでき、ネットショッピングの普及とともに広がってきました。

ベルマークがなくても点数になるものも

商品に付いているベルマークのほかにも、テトラパックのマーク付きの紙パックや、使用済みインク、トナーカートリッジでベルマーク点数になるものも。インクカートリッジは1個5点、トナーカートリッジは1個50点、テトラパックの紙パック(裏が白いもの)は1kg=20点が付与されます。

イラスト 商品についてなくても

2024年度からパソコンの引き取りによる点数付与も始まりました。対象商品はベルマーク財団公式サイトの「集める」のページで確認できます。

公立小の集票トップは大砂土小学校

◆年間集票全国ベスト10(※2024年度=2024年2月21日~2025年2月20日の財団検収分)
1位  
780026点
勝沼授産園(山梨県甲州市)
2位  
693713点
オイスカ浜松国際高等学校(浜松市中央区)
3位  
308840点
くすのき特別支援学校(愛知県豊橋市)
4位  
269165点
あざい認定こども園(滋賀県長浜市)
5位  
243775点
大砂土小学校(さいたま市北区)
6位  
235830点
かすみの里(東京都青梅市)
7位  
224429点
米丸小学校(金沢市)
8位  
209318点
磐崎小学校(福島県いわき市)
9位  
199044点
新山小学校(秋田県由利本荘市)
10位  
197850点
国際医療福祉大学(栃木県大田原市)

大砂土小学校は児童数が多いのに加え、近隣のスーパーや郵便局、学校の入り口にも収集箱・袋を設置し地域の人に入れてもらっています。PTAアプリでベルマーク収集日のお知らせもしています。

効率化や集め方の工夫も

働く母親の増加によるPTA活動の見直し、少子化による児童生徒数減などで各学校は作業の効率化や点数集めの方法を模索しています。

学校の共用部分に協賛企業別のウォールポケットを設置して集計時間の短縮につなげたり、点数の高いインクカートリッジ、紙パック等を重点的に集める工夫や、回収箱を近隣のお店に置いてもらうなど地域との連携を進める学校もあります。

写真

協賛企業別に分類されたマークを入れるウォールポケット=都内の学校で

公益財団法人ベルマーク教育助成財団常務理事の福島範彰氏は「ベルマークは『無理なく 無駄なく 根気よく』のモットーで続けられてきました。時代に合ったシステムとなるよう、点数の自動読み取りなどの研究も進めています」としています。

累計300億点…広がる支援、SDGsを先取り

【寄稿】公益財団法人ベルマーク教育助成財団理事長 銭谷眞美(ぜにや・まさみ)さん

日用品などについている「ベルマーク」を集めて送ると、自分たちの学校の備品や教材を購入できるだけでなく、それが教育支援につながるベルマーク運動の仕組みは、世界で類がありません。

へき地の学校の先生たちが教育環境への支援を求めて声を上げたのは、1957年のことでした。当時は都会とへき地の格差は大きく、へき地の学校では理科の試験管にも事欠く時代だったそうです。へき地の学校を支援しようと、財団法人教育設備助成会(現公益財団法人ベルマーク教育助成財団)が文部省の認可を受けて1960年に設立されました。

運動は大きな支持を得て、ベルマークはすっかりおなじみになりました。

当初2263校だった参加団体は現在2万5000を超え、累計で300億点を超えるベルマークが集まり、約292億円が教育備品の購入に充てられました。支援対象もへき地学校から、特別支援学校(養護学校、盲学校、ろう学校)、災害被災地の学校、病院内学級、海外まで広がり、支援総額は50億円以上に達しました。

2011年の東日本大震災の被災学校には現在まで息の長い支援を続けています。継続的な支援はベルマーク運動の強みです。一昨年の能登半島地震の被災学校にも、これまでに石川県内の28校に総額580万円相当の備品や教材を贈りました。

ベルマーク運動は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のひとつ「質の高い教育をみんなに」を先取りしてきたと自負しています。近年では「だれでも、気軽にできるボランティア」として見直され、職場や地域で集めたベルマークを「支援に役立てて欲しい」と寄贈してくれる件数が増えています。少子化や時代の変化など対応すべき課題もあります。しかし、「子どもたちの笑顔のため」という運動の目的は今後も変わりません。

グラフィック:小川あき子
取材協力・資料提供:公益財団法人ベルマーク教育助成財団、一般社団法人ウェブベルマーク協会、大砂土小学校PTA
写真提供:公益財団法人ベルマーク教育助成財団、日本テトラパック株式会社
出典・参考資料:公益財団法人ベルマーク教育助成財団「ベルマーク手帳」、同財団ホームページ、一般社団法人ウェブベルマーク協会ホームページ

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