中学受験 小3息子に選択肢を示すべき?〈宮里暁美の子育て相談〉

(2026年1月16日付 東京新聞朝刊)

ひとりで悩まない 宮里暁美の子育て相談

何から手を付けるべきなのか…

 小学3年の息子の中学受験を考えるべきか悩んでいます。本人は自分から進路を考えるような年齢でもないですし、特に意識している様子もありません。選択肢は示した方がいいかと思う一方、情報が多くて、何から手を付けるべきかも分かりません。

 今やっている通信教育の勉強も遅れがちになるくらいなので、受験勉強ができるか不安もあります。(40代父)

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イラスト・永須華枝

 

本人の気持ち大事に

 子どもの将来について考えることは難しいテーマです。子どもは「今」を精いっぱい生きているのですが、親はわが子の「将来」が気になってしまう。そして、わが子の「将来」を考え始めると不安が広がってしまう。わが子が一人でしっかり生きられるようになるかと考え出すと眠れなくなってしまうこと、私にもよくありました。考えても何にもならないのに。親心って本当に厄介です。

 そんな私に、息子が言った忘れられない一言があります。私の中に深く突き刺さりました。

 それは息子が中学生のころ。勉強か部活で残念な結果が出て、私がため息をついたり、肩を落としたりしたときに彼が言ったのです。「僕が一番つらいときに、僕よりつらくなるのはやめて」と。

 息子の静かな声を聞きながら、「つらいのは息子自身」「親がつらい様子が息子をさらに苦しめる」ということを胸に刻みました。

 親はわが子のため、心配したり励ましたり手伝ったりする。結果は、うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。「生きる」とはそういうことだから。

 忘れてはいけないのは、努力するのも、結果を引き受けるのも本人ということ。シンプルで揺るがない真実が私の中にズシンと入り込みました。息子のひと言を皆さんの心の中にも残しておいていただけたらと願います。

 「中学受験を考えるべきかどうか悩む」「受験勉強ができるか不安」。これらはお子さんの気持ちではなくお父さんの気持ちです。受験勉強をするのも、その結果を引き受けるのも本人なのですから、本人の気持ちを置いてきぼりにしないようにしたいと思います。

 「今やらないと間に合わない」など不安感をあおるのではなく、本人の「やってみたい」を掘り起こせたらいいですね。知りたい、分かりたい、考えたい。そんな風に思うきっかけは、思いがけないところにあるかもしれませんよ。

(文京区立お茶の水女子大学こども園・前園長、お茶の水女子大学特任教授)

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