休校中に首都圏の古墳ガイド作り 川崎市の小4・筑紫君「発掘にも参加したい」 100基以上、徒歩で訪問
親が「電車やバスはダメ」 往復8時間以上歩く日も
築紫君は真っ先に、表紙に「首都圏 田園都市の古墳」と書かれたお手製の古墳ガイドブックを見せてくれた。「すべて臨時休校中に自宅から歩いて訪れた場所。古墳の数は100基を超えています」
自宅のある武蔵小杉近郊の古墳を中心に、市内だけでなく横浜市港北区や東京都大田区、世田谷区へ。「『新型コロナウイルスが落ち着くまで電車やバスに乗ってはダメ』と親が言うので、仕方なく歩いた」と築紫君。スマートフォンを頼りに、多い日は往復8時間以上も独りで歩き続けたという。
大好きな蟹ヶ谷一号墳「よくぞ残っていてくれた」
宅地開発などで既に消滅した古墳が圧倒的に多く、目的地にたどり着けなかったことも。「それに勾配のある場所が多くて、坂道や階段を何度も上り下りした。苦労したけども、古墳が好きだから、つらくなかった」
お気に入りは高津区の蟹ケ谷(かにがや)古墳群の一号墳。ガイドブックには「形をとどめるものの中で、川崎市で一つしかない前方後円墳だ」とつづった。その魅力を尋ねると「やっぱり前方後円墳の形ですね。よくぞ残っていてくれた、と思って。いろんな古墳がある。形や大きさなどを手がかりに、どんな時代で、どんな立場の人だったのか調べるのは楽しい」と語った。
図書館・博物館も休館…不明点は教委に電話で質問
緊急事態宣言が発令されると外出を控え、それまでに訪ね歩いた古墳のガイドブック作成に注力。「困ったことに、図書館も博物館も休館で、調べる手段が少なくて…。自分の目で確かめたことだけでは分からないことがあったので、教育委員会に電話をかけて質問しました」
3カ月間に作成した古墳ガイドブックは「武蔵小杉近郊編」「日吉・橘・久が原編」「中原区遺跡総覧」など。文字も地図もイラストもすべて手書きで、現地の画像も添えた。「信頼できる情報をまとめたかった。謎が多いので、『古墳なのかまだ分かっていません』と注意書きした」とも。
動画作成も計画「学校再開嬉しいけど研究時間が…」
3月に幸区の加瀬台古墳群を訪れたのをきっかけに、「もっとないかな」と歩き始めた築紫君。この3カ月間を振り返り、「古墳にハマっています」とにっこり。「機会があったら、発掘調査にも参加してみたい」という。
次は、4歳で始めた三味線をバックミュージックに、古墳が造られた時代に想像を巡らせた「古墳動画」を作ろうと計画中。築紫君は「(学校の再開に)期待しています。でも、時間がかかる研究ができなくなるのは残念かな」と話す。
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