「地毛証明」都立高の4割超が要求…人権侵害? 都教委は「事実誤認の指導を防ぐため」

古川雅和 (2021年3月3日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 東京都立高校の4割以上の学校で、黒髪や直毛ではない生徒に「地毛証明」の届け出を求めていることが分かった。頭髪を規制する校則は、人権やプライバシーに関わる問題になる。だが、自由といってもあまりに奇抜な髪形で学生生活を送る生徒を、快く受け入れない人もいるはずだ。頭髪の問題は、どう考えればいいのか。
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街を歩く制服姿の若者ら。地毛証明は行き過ぎだが、といって奇抜すぎるのも…=2018年6月、東京都渋谷区で

昔の写真や保護者の署名を求める学校も

 この問題は、共産党都議団が都に情報公開請求をし、具体的な内容を明らかにした。都立高校全日制177校中、地毛証明となる「頭髪に関する届け出」を求めているのは44.6%の79校で、保護者の署名や押印も求めるところもあった。5校が届け出を任意と明記していた。地毛の色を確認するために幼少時と中学3年生時の写真の添付を求めたり、染髪やパーマをかけないことを誓約させる学校もあった。

 染髪やパーマを巡る校則の問題は、東京都教育委員会も正確に把握できないほど昔からあった。子どもの人権問題の高まりを受け、都教委は2017年7月に留意点をまとめた「頭髪に関わる指導のあり方について」という文書を各都立学校に送っている。

 文書は、頭髪や服装の指導は「基本的な生活習慣を確立し、生徒の学校生活の充実を図るため、生活指導の一環として行うことを生徒、保護者に周知して理解を得る」としている。書面の届け出を求める場合、その趣旨は黒髪ではない生徒らに「事実誤認による指導を行わないようにするため」だという。これに沿い、各校が校則を定めている。

黒染め強要やツーブロック禁止が議論に

 そもそも、なぜ染髪やパーマを禁止するのか。都教委は「学校が生徒の状況に加え、保護者や地域の声やニーズにこたえるために決めている」(指導部)。就職試験で清潔な印象を持ってもらいたい、という背景もあるそうだ。

 頭髪を巡っては、2017年に大阪府立高校の元生徒が茶色い地毛の黒染めを強要され不登校になったとして府に損害賠償を求め、提訴した。大阪地裁が2月16日に出した判決は、校則や頭髪指導は「学校教育の裁量の範囲を逸脱したとは認められない」とし、校則の違法性は認めなかった。東京都でも、昨年3月に耳の周りや襟足付近を刈り上げるツーブロックを禁止する都立高校の校則が都議会で取り上げられた。

「時代遅れ」「教育困難校には利点も」

 地毛証明を求めることについて、教育評論家の尾木直樹氏は「人権侵害も甚だしい。時代遅れだ」と厳しく批判する。校則を無くした後に奇抜な髪形の生徒が出てくることは認めるが、「一過性のもの。校則がない学校は、ないことが生徒のプライドになる。生徒が自治の力をつけるようにするべきだ」と話す。

 一方、東京電機大の山本宏樹准教授(教育社会学)は「本来、頭髪は指導しなくてもいい」としながらも、生徒が学習に集中できないようないわゆる「教育困難校」にはメリットがあることも認める。

 生徒が限りある時間や金銭を容姿に投資しすぎることを抑制したり、規律に従わない生徒を指導することで、秩序を安定化させることなどだ。そうした指導によって守られる生徒もいるという。山本氏は「すべての子どもが自分に合った学校を選べるようにすることが重要だ。学校は校則や指導内規を公開し、特色のある学校づくりをしてほしい」と話している。

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コメント

  • 匿名 より:

    私個人としては面白いのでいろいろな髪形やカラーを見てみたい。都立の高校なのだから自由でいいのに。若いからこそできるおしゃれを楽しんでもらいたい。

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